デレマスアニメ5話 「I don't want to become a wallflower」 雑感

kage

2015/02/07 (Sat)

先に【私のシンデレラアニメに対する対応について】をお読みください。
今回も雑感を。当然ネタバレなのでご注意を。


「格差問題」への踏み込み

4話のラストシーンから変わることなく、CDデビュー発表のシーンから始まりました。
それに対し、戸惑いと喜びを見せる「決定組」の5人に対して、他のメンバーは
皆一様に祝う…ということにはならず、「自分たちは?」という反応を見せるのが
城ヶ崎莉嘉と前川みく。その雰囲気は、まだギャグテイストのあった3話とは違い、
真剣そのもの
。ここでこの問題をシリアスなものとして取り扱う、という
この話の方向性が感じられ、非常に緊迫感を感じられるスタートとなったのです。

実際物語の中では、デビューに向けて着々と準備する5人と、それに対し各々の
反応を見せる9人、というものが描かれていき、最終的にはみく達がその「格差問題」に
対してストライキの決行までします。そのストライキ自体はギャグ調なところも
ありますが、問題自体は極めて深刻なものである
ことは間違いないはずです。

というのは、その直前に、「いくら頑張ってレッスンしても、仕事しても、デビューできない
のはなんで?」という不満を持っているのはみくや莉嘉、みりあだけではない

ということがしっかり描かれたからでもあります。Pへのアプローチ作戦もギャグ調では
ありましたが、その姿勢自体はギャグではなく真剣でしたしね。

さて、この問題、この物語内での「格差」を描いてはいますが、同時に「シンデレラガールズ」
というコンテンツ自体が抱える「格差」をもあらわしているのではないか
、と考えられます。

約200人ものアイドルが存在するシンデレラにおいては、キャラ間の扱いには絶望的なまでの
差があるのが現実
で、もっとも明確なラインとしては「声の有無」であり、それと同時に、
この5話同様に「CDデビュー」というものもあります。まさに「格差」そのものですね。

シンデレラガールズという、この「格差」があるコンテンツを楽しめる人たちというのは
もちろんいて、その人たちが「シンデレラガールズのプロデューサー」なんだとは思いますが、
その中でも全員が全員、現状の「格差」が望ましい、このままでもいい、と思っているとも
思えません
自分が一生懸命プロデュースしているアイドルに声がついて欲しい、
という気持ちは当然あるはず
で、それが「総選挙」の原動力の一つでもあるでしょう。
しかし少なくとも現時点では全員に声がついているわけではないし、キャラクターの扱いの
格差がなくなっている、平等化しているようにも、少なくとも私には全く見えません。

その「頑張っているのに(様々な事情で)報われない」という「問題」を、今回のみく達が
代弁するかのような方で「問題」として掲げた、それをこのアニメで描いた
、そう思えるのです。
前川みくというキャラクター自体は、このアニメでCPのメンバーに選ばれている時点で、
明らかな「優遇される側」ではありますが、それでもメインの3人との格差はあり…
というのも含め、物語内での「格差」問題に踏み込むメンバーとして選ばれたのだと思います。
もちろん自己主張が強い、躊躇わない、というキャラクター性も大きいとは思いますが。

そして最終的にはCP全員のCDデビューを予定している、ということがきちんとPの
口から話されることにより、今回の話の中の騒動は落ち着くわけですが、これはつまり
メタ的な意味でも「将来的にはなんとかする」というメッセージとも捉えられるわけです。
もちろん現実的に200人に声がつくのは極めて難しいと思いますし、この人数では平等にも
なりようもない
とは思います。ただ、このアニメで初めて声がついたメンバーが出ているように、
少しでもそれに向かって前進している
、というの事実はまさに目の当たりにできていますし、
みくに対するPの言葉は、視聴者であるP達に対する公式側の言葉、とも置きかえられるでしょう。


さて、この「格差問題」、似たような事態は765でも起きていました。そう、「竜宮小町」です。
ゲームまで含めれば3人(4人)は優遇どころか不遇な扱いに、という話なんですが、
アニメの物語に限定していえば事実上「優遇」されてのデビュー、という形の扱いでした。

ただ、その問題に対して、他のメンバーはほとんど不平不満を述べはしませんでした
6話冒頭でほんの少しばかりあったようななかったような…程度の描き方です。
それは選ばれたメンバーが、最年長のあずさであり、アイドルとしての才気をみせる
伊織であり、だったからかもしれませんが、じゃあ亜美は?という話もあって…。
端的にいえば「なんで真美じゃなくて亜美なの?」というのは間違いなくあって、
ここで真美がそれについて何も言わない、というのは普通に考えれば不自然な表現
でした。
これについてはコミックの方でフォローはされていますが、よりリアリティのある話を
描くのであれば、アニメ本編内できちんと描かれなければならなかった話です。

結局のところ、そもそも「竜宮小町」はゲームの設定をアニメに持ち込んだ存在であり、
そもそもゲームでそうなったのも諸々の「オトナノジジョー」が大前提であったはずで、
それで決まったものに対し、アニメの物語内でもっともらしいことをとやかく言うほうが
無理がある、というのはあったと思いますが…。しかしやっぱり物語としては不自然でした。

「竜宮小町」に対するリアクションとしては、美希が一人踏み込んでいたのは確かです。
自分が選ばれなかったのは真面目にアイドルをやっていなかったから、という自覚をした
ことで(それが正しいかはさておき)、「頑張れば報われる」という考えを持つ、という話でした。
結局竜宮小町には入れませんでしたが、頑張った結果、ライブの成功という形で
報われたわけで、ここでは「頑張ったけど報われない」は描かれなかった
のです。
「頑張ったら竜宮小町入りできる」というのも美希の勘違い(とPの失態)でしたしね。

それに対してこのシンデレラのアニメ。765では描かなかった、描けなかった「格差」に
ちゃんと踏み込んだ、「頑張ったけど報われない」というリアリティのあるテーマすらも
描いた、というのは、765とは前提条件が違ったにせよ、非常に好感が持てること
で、
「アイドルアニメ」としてどちらが良いかと言えばそれはやっぱりこのシンデレラ
とハッキリ断言できるものであります。もちろん今後「頑張ったから報われる」ところも
描かれるのだとは思いますが、その前にこれを描いた、というのはやはり大きいのです。
そしてそのテーマを、シンデレラのコンテンツ特性そのものと重ね合わせて…という表現は
素晴らしいという他なく、今度は逆に「4話とは何だったのか」とすら言える出来
でした。


「前川みく回」

というこの5話、一番目立っていたのは明らかにみくであり、「みく回」だったとは思います。
しかしながら、「個人回」としてはあまりにも弱過ぎるのでは、と感じたのもまた事実です。
最大の要因は、みく個人と同等レベルの出番があったメインの3人の描き方であり、
結局この3人なしではシンデレラの物語は描けない、という事実上の宣言にすら等しいものでした。

もちろん今回の話においては、「優遇される側」を描く必要があり、この3人を描かなければ
ならなかったのはわかりますが、しかしあまりにもこの3人の描写が多過ぎるのです。

今回、みくが主観といえるような表現がある程度されたのは事実です。彼女の気持ちを
描き、彼女の行動を描いた、それは間違いありません。しかしそれと同様なくらい、
この3人について描かれた。この3人から見てのみくが描かれることとなった。

この表現方法では、「メイン」は3人であり、11人は「サブ」である、それを全く脱せていません
というか、前述の通り、もはやそれを脱する気がない、という表現をした方がいいでしょう。
このアニメはこれで行くんだ、ということですね。今後変わる可能性もゼロではないでしょうが…。

個人回として1番手にみくが選ばれたのは、今回の問題に最も踏み込める、意見が言える
キャラであるからだろう、というのは前述のとおりで、またPに対して反発的な側面がある
というのもあるからでしょう。これは765の一番手に伊織が選ばれたのと同じで、
こうしたキャラの、こうした表現は早いうちにやっておいたほうがいい、というのが
間違いなくあるからだと思います。アイドル達全員の「Pに対する信頼感」を得る物語を、
一人に代表させる、託す、という表現が非常にしやすいパターン
でもありますからね。

ただそれと同時に、個人回として弱くなるのは同じで、伊織も「伊織はこんなに馬鹿じゃない」
というツッコミが入ってしかるべき内容でもありました。その意味で、このみく回は、
例えば彼女は「キャラ作り」をしているキャラ(でいいんですよね?)なのにその話については
特に描かれなかった、というのは、個人回として十分だったのか
、という話になります。
ストライキでは語尾が普通になり、素になっているシーンというのはありましたけど…。

「ふざけているようで、本当は真面目で熱心」というキャラクター性についてはこれで十分
表現できていた
とは思いますが、全体としてはまだ不足しているのでは、そうも思えるのです。

もっともまだ5話に過ぎず、個人回は終わっても今後フォローを入れる機会はいくらでも
ある
のもまた確かでしょう。伊織もその先の物語で、より魅力を発揮してくれましたしね。
ただ問題は、やはりメイン3人に尺を取り過ぎなところで、それが要因では…という話。


プロデューサーについて

1話で強烈な存在感を発揮しながら、2話以降は別人のように存在感を失っていたP
主役は「アイドル」で、彼は「プロデューサー」だからそれはそれで良いのですが、
この5話で再び存在感をあらわしてきました。ただ、役割は1話とは少しばかり違いました。

今回彼は明らかなミスをした、ということです。それは「9人にちゃんと今後の予定を
早いうちに伝えなかった」
という話。これについては本人も言っていたように、
正式決定ではないからで、ぬか喜びさせるわけにはいかない、という判断の元に
そうしたのだと思いますが、その判断は良い結果を生まなかった、ということになりました。

ストライキ自体はプロダクション内だけの話で、内輪の問題で済む話ですが、
それ以上に不信感・不安感を与えてしまったのが問題で、明らかな失態です。

ただ、この「失態」を描いたのもまた良かったのではと思います。765のPはフレッシュな
明らかなる新人で、彼自身の成長もまた、一つ物語の軸になっていました。
しかしこのCPのPは新人ではなさそうな雰囲気で、ベテランの貫禄すら漂わせます。
しかし今回ミスをした、ということで、決して「超人」ではないし、彼にもまだ成長の
余地はある、ということを示した
のです。無論、PはPに過ぎず、アイドルより目立っては
ならないと私は思いますが、「アイドルマスター」という物語にPは不可欠であり、
その成長もまた「アイマスの物語」の一つであるのは確か
だと考えています。

だからその意味で、今回のミスは良かった。「選ばれなかったメンバー」は最初から
それについて真剣に訴えていたのだから、不確定であれちゃんと安心を与える
べきだったのに、それができなかった、というミスは、彼の慎重さは必ずしも
ベストなものではない、ということでもあったのです。そもそも346程の規模の
事務所なら新人のデビューなんて確実にできるんじゃないの
、という話もありますしね。

今後も彼を目立たせる必要は全くないとも思いますが、アイドル達の物語を描く中で、
少しずつ彼の成長も描いていけるならば、それは理想的な表現なんじゃないかと思います。


今後について

ということで非常に長くなりましたが、まだ少しばかり話は続きます。
今回は、CDデビューのユニット名が正式に決まった、というのも大きなポイントです。

「new generations(ニュージェネレーションズ)」…島村卯月・渋谷凛・本田未央
「LOVE LAIKA(ラブ ライカ)」…新田美波・アナスタシア


今回はこの2ユニットの決定も描かれつつ、みく回だった、という話なんですが、
じゃあ次回は…というと、今度こそ「美波回」なのか、「アナスタシア回」なのか、
あるいは別のメンバーなのか、という話になってきます。個人回とも限りませんが…。

ただ、もしLLの二人のどちらかならば、より「成長」の要素が強そうなアナスタシアが
先に来るべきでは
、と思えます。これは765の雪歩千早のように、「成長」自体が
個人の大きなテーマとしてあるメンバーは早いうちにそれをやった方が良い
、という
ことからです。まぁアナスタシアに成長要素がどれくらいあるかは私には不明瞭ですが…。

まぁ、個人回が誰であれ、現状それ以上に問題なのはNGの3人の扱いであり、
本当にこのままいくのか、という話。他のメンバーの個人回すら食う勢いでそのまま。


私にはこれがどうしても良いものには感じず、非常に厳しい部分です。
これを除けばこの5話は非常に良い物語だったと思いますし、改めて「4話とは
何だったのか」と言いたくなるような素晴らしい演出であった
と思います。

このクオリティのまま今後も進んでくれれば、4話のような落とし穴がなければ、
と思いますが、「NGの優遇」も肥大化していくのならば、それもやはり問題。
あるいはそれすら覆せるものが描けるのか、どうなのか、次回も期待しています。