アニメ版シンデレラガールズ 1stSEASON 総括

kage

2015/04/24 (Fri)

今回はこのシンデレラアニメについていくつかの側面から総括的にみていきます。


ストーリー

シンデレラプロジェクト結成→ユニット毎にCDデビュー→346フェス参加
と書いてしまうと一行で終わってしまうストーリーなんですが、そのシンプルさ自体は
「アイドルのサクセスストーリー」としては全く悪いものではないし、むしろ奇をてらった事を
無理にしなかった事については好印象を受けているくらい
です。

そしてその中で、ある意味「綺麗事」になってしまった感のある765のアニメと異なり、
もう一歩踏み込んだ、ある程度リアリティのある展開を描いた、という事についても
良かったと思います
。「格差問題」しかり、「アイドルの厳しさ」しかり。

もちろん13話を1話ずつ区切って見れば、「良かった回」「悪かった回」、それぞれ
ありますし、それはこれまでも書いてきたとおりです。その中で、1話が「特に良かった回」で
あったが故、ハードルが上がり過ぎてしまった事、そして最後の13話が「悪かった回」で
あったために消化不良感が残ってしまった、というのは非常に残念な話でした、
ただ、トータルで見れば「シンプルイズベスト」で楽しめるものであり、良かったと思います


演出

最終回、13話がまさにその象徴でもあったわけですが、演出的な見方をすれば、
良く言えば王道、悪く言えばベタ
で、これもストーリー同様と言えるものでした。

ただ、その中で「描きたいシーンのための無理のある展開」も、それこそ13話を
筆頭にいくつか散見され、それについてはハッキリと「悪かった」と言えます
これは765のアニメからの悪習というか悪癖というかが何も変わっていないところですね。

もっとも、それ以外の細かい描写、765との世界観とのつながりや対比、
あるいは「CP以外」のアイドル達の見せ方などは、(概ねは)上手かったと思います。
特に「CP以外」のアイドルについては、ほとんどのメンバーについてしっかり紹介せず、
ある意味ではリアルな描き方をしたこともそれはそれで良かった
ですし、
既存層を喜ばせ、新規層の興味関心を惹く、それができていたのでは、とも思います。


楽曲

765同様、既存曲を中心に新曲を散りばめ…という構成よりも、むしろ新曲を中心に…
という構成だったように私には感じました。実際はどこからどこまで新曲かは
100%正確な判断ができている自信はないので、何とも言えませんが。

ただいずれにせよ、少なくとも、私の印象に残った曲というのは
せいぜいオープニング曲の「Star!!」くらいで、それ以外はサッパリ…
というのが実際。
CDを購入していなければそりゃそうなる、と言えばその通りかもしれませんが…。

13話の「GOIN’!!!」にしても「自分REST@RT」ほどのカタルシスに溢れていたかと言えば
それも甚だ疑問で、「勢いのある曲だったね」くらいしか感想は持てませんでした。

まぁ楽曲についてはしっかり聴きこんでいる765と比較しても何にもならないんですが、
それはさておいても「これは」と思える曲も特になかったというのは残念でした。


プロデューサー

このアニメでも、765同様に事前に伏せられていたプロデューサーが登場したわけ
なんですが、所謂「アイマスのプロデューサー像」を具現化して見せた765Pとは
異なり、また別のタイプで、「視聴者であるPから嫌われないプロデューサー像」を
描いてみせた、これについては私も非常に良かったと思っています


しかしながら、「別のタイプ」であるということは、少し尖った個性を持っていることでもあり、
それに伴って彼個人のパーソナリティーにスポットライトが当てられるのでは、と
危惧もしました。これは私にとっては全く望ましくない話だからです

アニメ内のプロデューサーはあくまでも黒子、視聴者の代理人、これが私の前提です。

このPに関して言えば、一時危惧したほどには個人にスポットライトは当てられなかったし、
「過去話」に行きそうで行かなかった、というのもギリギリの塩梅で何よりでした。


アイドルの扱い

私にとっては「全員平等」が理想の形であって、765プロというのはコンテンツ全体としては
その理想に限りなく近く、アニメとしてはその理想からやや離れたもの、という形でした。

そしてこのシンデレラ、コンテンツとしては「平等」の「び」の字もないのは
最初からわかっていて、しかしながらアニメにおいては「シンデレラプロジェクト」が
あって、この選ばれた14人はある程度平等なんだろう、そう思っていました。

しかし蓋を開けて見れば、前半は完全に「ニュージェネレーションズ」の一人、
いや三人舞台
。「アイドルマスター ニュージェネレーションズ」と改名するべきと思うほどに。
一方で後半はユニット回の連発に突入し、NGの存在感は一気に失われ、
最終回で巻き返すかと思いきや、それも思っていたほどではなく…。
トータルで見ればある程度バランスはとれていたのでは、という結果でした。

しかし個々を見れば話はそう簡単ではありません。「メインヒロイン」のオーラを
放つ卯月は、「良い子」を越えた「聖人」としての輝きだけを前半で見せつけ、
そして後半は露出の低下に伴いそのイメージからは全く抜けだせませんでした
し、
そもそも存在感自体を完全に失っており、酷い言い方をすれば「こんな子いたっけ?」状態。

その卯月を差し置いて「シンデレラの象徴」として物語の核を担うと思われた凛も、
やはり尻すぼみに存在感を失い、その物語は中途半端にしか感じませんでした


一方NG以外では、4話で実質的な個人回をやりながらも、11話でも普通にユニット回を
こなしたみくは、その能動的なキャラクター性もあり、一歩抜きんでた感じ

そして抜きんでたというのであれば、やはり蘭子。ユニット回=個人回で、その上
12話13話で無双状態と、NGを完全に圧倒する存在感を発揮しました。

それとは逆に、ユニット回というものが存在せず、そのユニットの相方でもある美波は
個人回で日の目を見たため、ただ一人完全に不遇な立場となったのがアナスタシア

しかしそのアナスタシアよりもある意味悲惨な扱いとなったのは、出番自体は多かった未央です。
そしてこの未央の扱いこそが私はこのシンデレラアニメ最大の問題であった
、そう思っています。

いずれにしても、全体をトータルで見ればある程度は14人のバランスは取れていたようにも
見えますが、一話一話の積み重ね方としては明らかにバランスは取れていませんでした
各々「ユニット回」でそのユニットを描いたところまでは良かったものの、それ以外が
あまりにもガタガタで、13話が終了した時点では、全くスッキリしないものと感じられました。

もちろん「感じ方」は全て人それぞれなんですが、このアニメでのアイドルの扱いの
バランスは、私にとっては全く良くなかった
、それが率直な感想です。


問題点

765のアニメについては、「9.18」「アイマス2」で著しく傷ついたブランドの再生、進化と
いう意味合いが非常に大きく、あのタイミングでこのアニメはある意味「特効薬」でした。

一方でこのシンデレラ、コンテンツとしては順調極まりなく、少なくとも「特効薬」は
いらなかった。しかしながらメディア展開上、それができる、あるいは望ましいタイミングに
なったからこそアニメ化されたのだと思うし、実際にそれによってファン層の拡大は
間違いなくなされたはず
です。たとえソシャゲの登録者数が400万人を超えようとも、
それでも拾えなかった層を拾える、その力がアニメにはあるわけですから。

しかし前述の通りの「順調極まりない」シンデレラにおいてアニメ化は、「特効薬」ではないため、
わざわざ「劇薬」になりうる要素を持ちこんではいけない、ということもあったはず
です。
そのまま綺麗に、ただアニメ化というメディア展開ですそ野を広げる、それができれば良かった。
765だって「特効薬」ではあっても「劇薬」ではなかったので、だから上手くいったとも言えます。

そしてシンデレラでもそれはある程度は実現できたとも思いますが、完全にはできなかった
そう、それが未央の扱いでした。6話の未央の描写、あれは色々と観方もあるし、
考え方もある。そのフォローになる7話がベターだったかどうか、それも人それぞれです。

ただ、悪く受け止めようと思えばいくらでも悪く受け止められてしまう、その要素があの
6話、7話にはあった。これこそが最大の問題で、ある意味では「劇薬」だった
のです。

あれによって未央は随分と「一部の視聴者」にバッシングを受けました。
その「一部の視聴者」というのは所謂ネットイナゴといえる低質な層なのは明白なんですが、
しかしそのネットイナゴを呼び寄せる要素そのものをつくるべきではなかった
という話になるのです。ネットイナゴというのは残念ながら駆逐することはできませんから。
全ては結果論なのかもしれませんが、その要素を作ってしまったことはミスだと言えます。
ストーリーとして必要だと思ったから「劇薬」的にああいう描写をしたのでしょうが、
しかしその「劇薬」自体、この順風満帆なシンデレラでやるべきではなかった。

>現状順風満帆に見えるシンデレラにアニメ化という「火種」が投じられる、という状況は
765のときとは違うわけで、その辺りがどう影響してくるのか、気になるところです。


と以前に書いた事、これがまさに実現してしまった、そういう話なのです。
それがコンテンツ全体にどんな影響をもたらすのか…というのはシンデレラに
疎い私が考えても仕方のない話なんでしょうが、アニメ化「以前」「以後」において
良い変化、悪い変化それぞれがあるはず
です。765もまさにそうでした。

だからそれを踏まえ、そしてこれからどう展開していくのか。
もちろんまだ「2期」は残っていますし、それによる部分も大きいとは思いますが、
「アイマス10周年」のその先に、このシンデレラはどんな未来を描くのか
それは、シンデレラのPではありませんが、アイマスのPである私にとっても
大変興味深い話であるのは確かです。

…ということで、このアニメ(1期)を受けてのシンデレラというコンテンツへの
考え方の変化等々について、次回は書いてみます。