デレマスアニメ20話 「Which way should I go to get to the castle?」 雑感

kage

2015/08/29 (Sat)

先に【私のシンデレラアニメに対する対応について】をお読みください。
今回ももちろんネタバレなのでご注意ください。


「アナスタシア回」?

2期はここまでCPのアイドルとそれ以外のアイドル、というのを組み合わせる形で
各話メインを務め、この回までやってきました。前回終了時点でCPで残るはLLとREのみとなり、
そして実際今回はLLのうちアナスタシア回、と一応呼べるモノではあったのだと思います。

LLでユニットを組む美波はそれほど見せ場はなく、その意味でアスタリスクのように
個別に分けてメイン回を担当する、という可能性もなくはないと思いますが、
1期12話が事実上の「美波回」であったわけで、残りの話数、ストーリーを考えても
もう一度美波回をやるとは正直考えにくく…
。まぁアナスタシアに関しては1期で
最も冷遇されていたのでは、というくらいでしたし、これでバランスは取れたのかもしれません。

ただ、じゃあ今回でアナスタシアの魅力が描けたかというと…。メインストーリーの流れが
急激であり、アナスタシアが云々、というのは正直もはやメインではなかったでしょう。
ハッキリ言ってこの回を持ってしてアナスタシアの魅力が描かれた、掘り下げられたとは
私には全く感じられず、私の1期での印象である「控えめなロシア人」は変わりませんでした


6話でLLのデビューがNGに丸々持って行かれただけでなく、今回はメインストーリーの
大きな動きでまた個人回が事実上奪われてしまったアナスタシア。美波は前述の12話で
一応救いはあったと思いますが、そうなるとますますアナスタシアが不憫に思います。
NGの特別扱いはともかく、それ以外のメンバーと比べても悲惨な有様、これで良いんですかね…。

そしてこれまでは、CPと「それ以外」のアイドルがフューチャーされたわけですが、
今回はそれに該当するアイドルもおらず、完全にメインストーリーが動く回となっていました。

そう、プロジェクトクローネとトライアドプリムスについてです。


プロジェクトクローネ

ということで常務が直々に選出したという「プロジェクトクローネ」が今回の話の大きなポイントに
なるわけですが…。まず、会社内で総スカンと思われた常務の方針に乗っかるアイドルが
きちんといた、ということが驚き
です。話中で出てきたメンバーも常務の方針に
全く疑いも持っていないようですし、完全にやる気満々。一体これはどうしたことか、
という感じですが、まぁ普通に考えれば「総スカンではなかった」、ということなのでしょう。

実際アニメ内で描写されたアイドル達は明言はせずとも、ほぼ全員常務に不満を持っていた
ようですが、「描写されていないアイドル達」は持っていなかった、と捉えればよいのですから。
だから問題は、そうしたアイドルの存在をこれまで物語内で描いてこなかった、ということです。
常務の方針が成功している描写が限りなく少なかったのと同じように、常務に従うアイドルの
描写も事実上皆無だった。この描き方こそが物語が杜撰だと感じる要因であり、
ハッキリ言えば脚本の力量不足である、と言わざるを得ない部分であるとも思います。

ただ、別の見方もできます。今回PKに選出されたアイドル達は、「自分は『選ばれたのだから』
満足」という気持ちであり、だから常務の方針に従う
、というもの。他のアイドル達が不満を
持とうが虐げられようが、「自分が『勝ち組』になれたのだからそれでいい」という、ある意味では
非常にリアリティのある、アイドルとして(現実世界ならば)必要な強かさを持ったアイドル達

ということです。その強かさ自体も常務が求めたものなのかもしれませんが、
一方で視聴者から見れば好印象は全くもって感じられない存在となってしまっているわけで…。

「現在悪役でしかない常務の側についたアイドルを描いてしまったらその(現実の)
担当Pが不憫」
といったコメントをこのブログにいただいたこともありますが、まさにそれが
現実化してしまった今回。担当の(現実の)P達はそれでいいんでしょうか…。


常務は悪役?悪人?

前回ラストでトライアドプリムスをチラつかせましたが、実際凛をどうやってなびかせるのか、
と思っていたらまさかまさかの力技、強硬策を出してくるとは思ってもみませんでした。

何の捻りもなくストレートに勧誘するだけならまだ潔くも感じましたが、
CPの「審査」は冬の舞踏会に、と思わせておいて、秋の定例ライブを「審査」と設定。
さらにそれを「会社の方針」と明言する事でPを黙らせる、という策を講じた事で
「潔さ」なんてものは微塵も感じられず、逆に「姑息さ」を感じるものとなっているのです。

そもそも「会社の方針」の「会社」って何なのよ、という話にもなってきます。
仮に「全プロジェクトが秋の定例ライブに出る事」が会長や社長の意志だったとしても、
「審査」というのはまた別の話のはずで、それをするのは「会社」ではなく「常務」だったはず。
こうなるとむしろ「会社の方針」なんて虚言で「常務の決定」でしかなく、約束を反故にしたうえ、
CPメンバーの引き抜きを掛ける事で、その引き抜き自体が成功しようがしまいが揺さぶりになり、
「審査」を絶対的に不利にしよう、という作戦にしか思えない状況となっているのです。
もし個人の判断を組織の判断と置き換えたのならば、それは組織内での上に位置する者としては
最低の言動
であり、そこに正当性というものは全くもって感じられません。

そもそもPKは「常務が直々に選出した」とも明言されているわけで、そこに約束を無視して
CPのメンバーを入れた事自体完全に「反則」
であり、そこに義も礼もあったものではありません。

また、「アイドルの自主性」という言葉を巧みに利用し、Pの反論すら許さない、
というトークは知性など微塵も感じさせず、下劣さすら感じるレベルですらありました。

正直ここまで来ると、常務を「悪役」ではなくて「悪人」として描きたいのでは、と感じます。
信念や手段が主人公側と異なり、対立したとしても、そこに筋が通っていれば「悪役」と呼べ、
見方を変えればその悪役もまた主人公として描ける、「悪役」はそんな立場だと私は考えます。
一方「悪人」は信念や手段自体が非道徳的であり、正当性を全く感じられない存在と考えます。
こんな人物を主人公として描いても、誰ひとり共感など得られない、そんな存在が「悪人」です。

これまで私は常務を「悪役」だと思っていたから「無能」としかとれない表現に不満も感じたし、
「哀れさ」すら感じる描写だったからこそ、救いを与えてあげて欲しい、とすら思ってきましたが、
今回の描写からは「悪人」としかもはやとりようもなく、そんな感情すら失せるものとなりました。

「無能な横暴パワハラおばさん」である常務は倒すべき敵でしかなく、対するCPは絶対正義。
黒井という魅力的な「悪役」を描いてきたアイマスというコンテンツにおいて、
こんな単純な二項対立は正直いかがなものかとしか思えませんし、面白みは全くありません。

「常務は有能」という描写をこれから出すにしてもあまりにも遅すぎるのと同じように、
これから「悪人」ではなく「悪役」だとする話があったとしてももはや遅すぎる。
それくらい、もうどうしようもない描写をこの回でやってしまった、そう感じます。
このオバサンがこうした悪人になってしまった哀れな過去話なんてあったとしても、
そんなものは「アイドルの物語」には根本的に不要ですし、ますますヘイトが溜まるだけです。

果たしてこのオバサン、物語上どう処理するつもりなんでしょうね。


トライアドプリムス

常務のことはさておいて、TPに対して奈緒と加蓮がやる気満々、というのはわかります。
ただ、問題は凛、というのはストーリーで描かれた通り。NGとの兼ね合い、という話が
凛にとっては非常に大きな問題になってくるわけですが、奈緒と加蓮がそこで遠慮しないのは
どうなの
、と考えてしまいます。まぁ先輩だろうがなんだろうが自分がしたいことが優先、
というその強かさはやっぱりリアルと言えばリアルですし、そこで引っ込んでしまうような
聖人君子ばかりでは物語としても面白くない、というか成り立たない、というのはわかりますが…。

ただ、これまで「CPは正義」と描いてきて、特にNGはその中核だったわけで、そうしてみると
奈緒と加蓮に対して良い印象を全く受けられない、という風になってしまいます。
ありとあらゆるシーンで二人一組でいる、という不気味さ、いや気持ち悪さだけでなく、
「悪役」とすら呼べる立場にすら立たされてしまったこの二人。
今後のストーリーで挽回の余地はあるのでしょうか。まぁ常務よりはあると思いますが…。
オリキャラおばさんとは違い、彼女たちは主役、アイドルなわけで、しっかりしてほしいものです。


本田未央の暴走

ストーリー的にTPに凛が心動かされるのは当然だったわけで、それをきっかけにNGに
亀裂が、というのも想定の範囲内。しかしまさか未央が最後にソロデビュー宣言とは…。

走りだした未央を今度はPが追いかけた、というのは言うまでもなく6話との対比であり、
成長であるわけで、それは良いのですが、果たしてその後Pと未央でどんな会話がなされたのか…。

ソロデビュー自体、Pと二人で決めたはずで、そこに恐らくは正当性はあるのでしょうが、
最後の最後のシーンだっただけに今回はそこまでは描かれる事はなく。
こうなると「意味不明の行動」でしかないわけで、それだけならまだしも、これをきっかけに
卯月の笑顔が失われる、という流れに直結するのが見えている
わけでもあります。

そうなるといかなる正当性があろうとも、またも未央に視聴者のヘイトがぶつけられるのは
必至。こうなるともはやシナリオスタッフは未央に親でも殺されたのか、というレベルです。
ここからうまくそうならないシナリオとなっていれば良いのですが、果たしてそれができるか…。
未央については既に1期でやらかしているのだからもうやらかさないはず、と思える一方で、
それ以上にシナリオがガタガタになっている2期を考えればまたやらかすのでは、とも思える現状。

また、凛も、今回はきちんと心理描写を描いたから良いものの、結局TPでデビューすれば
卯月の笑顔喪失につながるのも必至なわけで、ヘイト要因にならないかは不安でもあります。


リアリティの代償

1期から感じていた事ですが、765のアニメに比べ、シンデレラは各アイドルの心理描写が
深い等、様々な面でリアリティを感じられるような作品になっていると感じます。

それは一つの作品の特徴であり、結構なことだと思うわけですが、その代償として、
現実の人間が持つ「汚さ」が目立ち、アイドルの魅力としてプラスを加えると同時に
マイナスをも加えてしまっている
、ということが起きていると、そう私は思うのです。

たとえ二次元のキャラクターであろうとも、全てのアイドルに聖人君子あってほしいなんて
思っていませんし、765で言えば春香、シンデレラでいえば卯月の聖人っぷりはむしろ
不気味にすら思えるくらいです。けれども、マイナスとして受け止められてしまうような
生々しい「汚さ」が必要かというと…それもまたどうなの、と感じてしまうのです。

…と考えたところで、その生々しいアイドル達は私にとっては本来「他人事」である
シンデレラのアイドル達である、ということをふと思い出しました。
つまりは、そんな心配をしてしまうほどに彼女たちに情を持てた、ということですね。
そう考えるともうこのアニメは私にとっては「成功」なんじゃないかとも思えてきます。
まぁ最終的な判断は全話終了後ではあるんですが、経過としてはすこぶる順調と言えるでしょう。

ともあれ、そのラストに向けていよいよ物語は佳境へ…となっていく次回、
何がどのように描かれるのでしょうか。未央の真意、TPの結成、卯月の笑顔、
そして「美波回」はありうるのか、「RE回=蘭子回」はこのタイミングで描けるのか。

秋の定例ライブ、そして舞踏会という2大イベントを残り数話で描き切れるのか、
というところまで含め、最後までチェックしたいと思います。