デレマスアニメ21話 「Crown for each.」 雑感

kage

2015/09/05 (Sat)

先に【私のシンデレラアニメに対する対応について】をお読みください。
今回ももちろんネタバレなのでご注意ください。


島村卯月の憂鬱

前回凛のTP参加意向に続き、未央が衝撃のソロ活動宣言した事で、
今回卯月が一気に笑顔喪失するまで描かれるかと思ったのですが、
少なくとも今回はそこまでは至らず、表面上は卯月は元気なままでした。

だからといって健全な心理状態であるとは全く言えない、という状態で
今回のラストまで描かれており、次回以降一気に崩れるフラグを立てた形でもあります。

新しい可能性を追いかけたいという凛と、それに刺激を受けて自分自身の
やりたいことを追求した未央。それに対して卯月は自ら能動的にやりたいという
ものが見えていない、という状態。これまでは「頑張ります!」でやってこれたものの、
もはやそういう状況ではない…ということで、時計の進みについていけていません。

何より厳しいのは、凛も未央も前を向いて進んでいる状態で、「ちょっと待って」が
言えない事。二人だけでなく、CP全体の空気がそういうものになってしまい、
卯月一人でそこに待ったをかけられない状態になってしまった
、という事です。

これは765アニメ終盤の春香とほとんど同じような状態であると言えるわけで、
二番煎じ感が拭えない
のはどうなの、と感じるところです。千早の海外レコーディングを勧める
春香と、TP入りを勧める卯月のシーンに至ってはトレースかの如く。まぁあえてオマージュと
いうか、リスペクトというかでそういう流れにしている、ということもあるのでしょうが…。

とはいうものの、こうした状況は割とリアルであるとも感じられます。先に進む仲間への
複雑な想い、周囲の空気に一人では立ち向かえないという葛藤、そして何より、
明確な目的の見えない自身に対する苛立ちとも焦りとも言える感情。
「頑張りますマシーン」でしかなかった卯月に、こうしたものが見えてきたというのは
良かった事
だと思います。むしろこれまでのマシーン状態が効果的になっていると感じるほどに。
もちろん問題はこの先どうなるか、というのが極めて大事ではあるんですが…。

また、今回の秋の定例ライブに、結果としてNGは不参加となりましたが、TPとして出る凛、
自ら別の方向に進んだ未央とは違い、卯月は望まずしてそうなってしまったのもポイントです。
卯月はこれに対しても「私は大丈夫です」と口では言ったのだと想像できますが、
実際には「大丈夫」なわけもなく…というあたりで、卯月の心情を深く考えられなかった
凛、未央、そしてPの責任、ととれてしまうような事態が今後起こる可能性は十分あり、
そこがストーリー最後の山場になるのかもしれません。そしてその時、その誰もが
「コイツが悪い」というやり玉にあがらないような物語の描き方ができるのか、
というのがこのアニメの制作陣に対する不安要素
になりますが、果たして…。


本田未央の決断

前回ラストで衝撃のソロ活動宣言をしたものの、蓋をあけて見ればNGは継続させつつ、
舞台に挑戦、というものでした。これだけであれば深刻に考えるべきものではない、
というところなのだとは思うのですが…「未央が舞台をやりたかった」というのも
唐突な感じで、凛に対する当てつけではないか、という印象は全く拭えませんでした
…私が知らないだけで未央の舞台好き設定なんかが元々あったのかもしれませんけど。

また、結局NGは秋の定例ライブに出られない、ということになったわけで、
「継続する」が事実上の虚言になっている、というのも引っ掛かるところです。

Pとの話し合い描写も今回で描かれ、前向きな決定なのだと、そう感じさせるような
描き方にしているようですが、白々しさというか不自然さはどうにも拭えず…。
少なくとも卯月の事など全く考えていない、というのは紛れもない事実のはずです。

…まぁ言うまでもない事ですが、卯月だって自分で考えて、自分でしっかりと
意志表明をしないといけないし、それができていないものを未央や凛のせいには
出来ない
、という話でもあるんですが。とはいえ曲がりなりにもNGリーダーの未央。
その責任を今回で全うできたかというと全くそうは思えず、良い印象は一切ありませんでした。


「神崎蘭子回」と「新田美波回」

いよいよ最終回へラストスパート、ということで、2期で個人、あるいはユニットが
フィーチャーされた回がなかったこの二人はどうするのさ、と思っていたところ、
この回ではNGを除けば最も目立っており、ここで消化した、という印象を受けました。

蘭子については1期で優遇とも言える扱いだったものの、2期では真逆で
冷遇されていると感じる扱いで、バランスをとってきたのかなという感じでした。
そう考えれば、今回も丸々1話は使わずに、CPの方向性を決めるという大事な
役割を担った、というあたりで落ち着けたのは良かったのかもしれません。
そもそも1期2期の扱いの差でトータルバランスをとるのはどうなのって話ですけど。

美波も1期で個人回があったわけで、それを踏まえてのこの扱いなのかな、
という感じ。蘭子同様にCPの方向性に大きな影響も与えましたしね。

もちろんまだ数話残っているので、実はまだ二人の個人回は残っている、
という可能性もゼロではないのですが、まぁ現実的には考えにくいでしょう。

実際のところ、765ほどには「個人回」を明確にしてきたわけでもありませんし
(というか「ユニット回」がメインでしたし)、そもそも「シンデレラガールズ」は
「シンデレラプロジェクト」の14人だけではないので、誰の出番が云々、というのも
また少し話がズレているのかもしれませんが、とりあえずCPは一通りの
メイン回は終わったのかな、ととれるような状況になった
のだと思います。
…もちろん、NGの3人は特別扱いで、これからまだ山場はあるのでしょうけど。


「シンデレラプロジェクト」のあり方

色々ありましたが、結局秋の定例ライブにはNGとLLは不参加(ただし美波はソロ参加)、
そしてアスタリスクとREはメンバーを増員、という構成で臨むことになりました。

しかしこの構成、欠場メンバーはともかく、増員ってどういうことなの、というのは
どうしても気になるところです。アスタリスクについてはストーリー的に理解できなくは
ないですが、REに至っては何の話もなく唐突にコンビ化している始末ですし。

こうなると「シンデレラプロジェクトって一体何?」とすら思えてきます。
私が常務だったら「勝手に人数増やしてんじゃねーよ。失格」と審査で落とすレベルです。
実際の物語としては悪人常務といえどもそれを理由に失格にはしないでしょうけども…。

それとは別の話として、LL不参加に対して自らは何の説明もしなかったアナスタシアの
(私の中での)株はだだ下がり
、というのもあります。まぁ未央も凛も勝手に抜けている、
という話でもありますが、「みんなに認められた」シーンがあったかなかったか、
というので決定的に違ってきてしまいます
。あそこでこの二人を認めた、
そして美波の前向きなシーンがあった、ということでアナスタシアについても
同じ扱い、とすべきなんでしょうが…。印象はどうしても良いものにはなりません。

それはともかくとしても、ここまで来るともはや「シンデレラプロジェクト」に拘る
理由がどこにあるのか、という話になってきます。常務が粛清しようとしている
「個性派アイドル」的なアスタリスクやREあたりを守るため、というのはあるのでしょうが、
それさえなければこのプロジェクトがこのプロジェクトである意味はもはやない、
という形になってきているのです。その状況で、審査で受かろうが落ちようが
(流れ的には多分常務に落とされそうですが)どうするのか、というのが
物語の大きなポイントになってくるはず。こうなると、最終的には解散、というラストを
迎える可能性も十分高い
と思いますし、そして描き方次第ですが、そこには多分何の
わだかまりも残らないはずです。物語的にも、視聴者的にも。

なぜなら、そもそも「シンデレラガールズ」には「シンデレラプロジェクト」なんて
元々はなかったわけですし、「14人だけが特別なんじゃない、みんながシンデレラなんだ」
というメッセージを残した方が良い
わけですから。「シンデレラガールズ」という
コンテンツの今後を考えれば、それこそがベストだと私は考えます。


演出の問題

何の捻りもへったくれもない雨の演出についてはもはや突っ込むのがヤボなんでしょう。
戦隊モノで「変身中に攻撃しろよ」と突っ込むのがヤボなのと同じレベルの話です。

だからそれはともかくとして、やはり気になるのが未央の舞台台本を使っての
(一応の)話の解決です。これは演出というか脚本の問題だとも思いますが、
率直な感想としては「えっ何これ」という感じ。ミュージカルならこれで
話を解決させてもよいんでしょうが、これは普通のアニメであり、明らかに浮いた描写です。
最後には隠れて見ていたCPメンバーも飛び出して「良かった良かった」みたいな
流れになっているのには唖然とさせられる始末。もっと真正面からぶつかって、
それでもうまくいかなくて、色々悩んでもがいて最後に解決、と行くと思っていただけに…。

まぁそれはそれで「王道過ぎる」と叩きようはあるんですが、今回のサプライズ、
というかアンビリーバブルに比べれば大分マシな気もしてきます。

とはいえ、今回これで何もかもが解決したわけではない、というのが救いというか、
まだ理解できる範疇に留まる要因となりました。つまりは、卯月はこれで完全に納得した
わけではない、ということです。「こんなわけのわからない演出じゃ話は解決しないよ」という
メッセージにもなっていると考えれば、それはそれで納得のいく話
ですから。
…仮に最終回で、最後の最後にこれで物語を締めていたらとんでもない話だとは思いますが、
流石にそんなことはしない、ということを今回で示してくれたのだとも思います。

とはいうものの、この舞台台本話の違和感も含めて、今回の話が全体的にフワフワしている
というか、落ち着かない感じになっている
と私には感じました。ストーリー自体がまさに
そういう流動的な場面だから、と言えばその通りなんでしょうし、卯月の心境に自分が
重なりやすい構成だったからそう感じた、というのもまたその通りなのかもしれませんが…。

言葉にするのも難しい、「地に足がつかない感じ」が狙い通りなのかどうかは
定かではありませんが、狙い通りならば非常にうまいものだと感じますし、
そうでないのならば次回以降で「ダメだこりゃ」と感じる事が必ずあるはず
です。

それが果たしてどうなるか、というのも含め、いよいよ山場の定例ライブ、
いかなる形でCPの存続有無を描くのか。卯月の問題をどう出し、どう処理するのか、
といいうあたりが次回のポイントになってくるでしょう。