第1話 これからが彼女たちのはじまり Bパート

kage

2013/11/20 (Wed)

Bパートは「日常」ではなくて、「職業:アイドル」が描かれます
ここでの演出も特殊で、オムニバス的にバラバラにしたものが組まれる構成ですね。

まず、ボーカルレッスンには春香美希千早が参加。メイン格の三人ですが、
そんな三人をあえて仕事シーンではなくてレッスンシーンを描いている、というのが印象的。
「職業アイドル」は決して煌びやかなだけではなく、きちんとしたレッスンをして、
日々努力をしているのだ、という裏側の側面をあえてメインの三人で描いたのでしょう。
これこそが「アイドルマスター」の真髄であるわけですしね。

次は雪歩のインタビューシーン。こちらは仕事のシーンですが、場所は喫茶店風で、
彼女たちはまだまだ低ランクのアイドルであることを表現している場面です。
また、雪歩のキャラクターもまさに正反対。快活なと大人しい雪歩なわけで、
男性インタビュアーに対し前のめりなとどんどん遠ざかる雪歩でもあるわけです。
それだけでなく、服も(つまりはパーソナルカラー)、飲み物もメロンソーダと、
アイスティー、というあたりで、キャラクターの対称性というものが表現されています。

とはいえ、そんな二人が一緒にいること、これが重要で、片方が落ち込むシーンでは
もう片方がフォローするという形で、対照的ながら、ベストカップルであることを感じさせます。
これがまさにゆきまこで、既存のPにも納得の描き方でしょう。

続いては春香のCD販売シーン。手売りというものそうですが、それでもさっぱり売れない、
というあたりでも低ランクアイドルを表現。そして販売しているのが「太陽のジェラシー」
というも印象的
です。言うまでもなく春香の初持ち歌で、アーケード版からの曲なわけですが、
アニメにおいても「最初の曲」的な扱いで、まだまだアイマス自体が小さいコンテンツであった頃を
思わせるような演出だと思います。決して「太陽のジェラシー」が「売れない曲」であることを
表現するための演出ではないはずです。また、CDは売れていなくても春香は元気いっぱい、
というあたりも彼女のキャラクター性があらわされているものでしょう。

また、ここでさりげなく小鳥が初紹介。Aパートから出ていたわけですけどね。
この描き方で、小鳥はあくまで脇役的存在で、律子とは扱いが違うことを表現しているはずです。

次は千早のステージシーン。ステージシーンといっても前座に過ぎない、というあたりも
低ランクアイドルを…というところですが、ここで歌う「蒼い鳥」もまた、「太陽のジェラシー」と
同じ扱い
になっているわけですね。そして千早前座後に盛り上がるバンド、それを冷めた目で
見つめる千早、というあたりも印象的な表現。これについて千早が語るわけではありませんが、
自分の歌は客の心を掴めず、対称的なバンドで盛り上がることに対し、心中複雑なはずです。

続くインタビューパートでも、あえて千早を画面隅に置くカメラワークにすることで、彼女の
キャラクターを表現しているのだと感じれます。また「歌が好きなんですね」に対し「はい」と
答えながらも、全く楽しそうでないあたりもポイント
。売れなくても元気な春香に対し、
「遊んでいる暇はない」と言う千早完全に対象的な存在として描かれるわけで、
この「歌に対する姿勢」がアニメ後半の展開の伏線になるわけです。
とはいえAパートで先に描かれたように、二人自身は非常に仲が良いんですけどね。

続いては貴音のオーディションシーン。雪歩と合わせて3人でそれについて
話しているようなシーンは、間違いなく「アイマスステーション」を意識した演出でしょう。
そして肝心の貴音のオーディション、受からない理由、売れない理由というものが
ありありと感じられるシーンで、プロデューサー不在の現状
がわかる表現になっています。

また、貴音のトップシークレット、の動物大家族、といったあたりもきちんと描かれ、
Aパートでは説明不足だった個性もしっかりフォローされる形になっています。

次はあずさ。こちらもオーディションに落ちてしまったわけですが、これで落ちるのは
一体どういうわけか…。貴音のような明確な失策ではないわけで、中々難しいところ。
それは置いといても、ここでもあずさのAパートでは描かれなかった個性がしっかり
描かれるわけです。マイペースっぷりと迷子キャラ、というあたりをですね。

お次は伊織やよいのインタビューシーン。とはいえこちらは仕事ではなく(本人たちは仕事の
つもりでしょうが)、カメラマンによるインタビューです。というわけで伊織は猫かぶりモードで
インタビューに答えるわけですが、案の定ボロボロの出来。それにしてもウサギの名前は
ゲームではそのまま「うさちゃん」だったはずですが、「シャルル・ドナテルロ18世」と
いう名前だと伊織は答える
わけです。これはカメラマンややよいに煽られた結果出まかせを
言ってしまった、というようにも見えますが、その後の展開的にもアニメでは正式名称のようです。

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そしてやよいのインタビューの番。財閥の娘である伊織に対し、自分で貧乏だと自己紹介する
やよい、ここでこの二人の対称性が描かれるわけですね。もっとも伊織自身が自分が金持ちで
あることを鼻に掛けることはなく、そのあたりにも伊織のプライドが見てとれるわけですが。

いずれにせよ、やよい伊織、少なくとも経済状況では対照的であっても、
二人が一緒にインタビューを受けるという事実、そして二人の掛け合いまで含めてみれば、
この二人の仲の良さ、というものがしっかり読み取れるような描き方になっていると感じます。

そして場面は夕暮れに。

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仕事シーンは描かれなかった亜美真美 が、アイドルという仕事について語るシーンから、
アイドル一人ひとりに「アイドルとは」を聞いていく構成になっています。

まず律子には「アイドルの条件」を聞くカット。「諦めないこと」律子は答えるわけですが、
これは「元」アイドルであり、現プロデューサーである律子自身にもかかるような答えですね。

また、ここで高木社長が初登場…顔は映されませんが。この描き方で、社長はあくまでも
脇役
、ということを表現しています。もちろん、重要な人物ですけども。

そしてここから「あなたにとって『アイドル』とは」を一人ひとりに聞いていく流れです。

…こうフリフリっとしててプリプリっとしてて…
雪歩…自分に自信がないから、違う自分になれたらいい
亜美真美…超楽しそう
やよい…少しでも家にお金を入れて、両親の役に立ちたい
伊織…自分をみんなに認めさせるため
あずさ…アイドルを続けていたら自分を誰かが見つけてくれる
…みんなのエサ代を稼がないと
貴音…トップシークレット
美希…らくちんな感じでアイドルをやれたら
千早…歌うこと、それだけ
春香…夢・憧れ


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この答えだけでも、彼女たち一人一人の個性が見てとれるわけですが、
この中で特殊なのは美希春香、このメイン二人でしょう。貴音についてはここでは
「トップシークレット」とし、アニメ中で語られることもありませんが、ゲームではしっかりと
語られるわけで、それは美希春香とは異なるものとなっています。

他のメンバーが「アイドルになったことによる利益」を述べているのに対し、
この二人だけは「アイドルになること」そのもの
を目的だと語っているわけです。
春香はそのまま「アイドル」=「夢」と述べているのに対し、美希はかなり曖昧な
答えではあるんですが、「アイドルをやる」ことが目的だと言っているのは違いありません。
そういう意味でも、この二人がメインヒロインであるのは必然なのかもしれませんね。

そしてここでエンディングへ。「The World is all one」の楽曲が、その練習風景と
765プロの日常風景をバックに流される
、という演出となっています。

ペットボトル片手に歌う春香からは、既に一応「アイドル」でありながらも、
まだまだ「夢」には届いていないということを感じさせられ、練習風景における
お手本シーンからは、この二人がやはりダンス能力に優れていることが印象付けられ、
雪歩貴音にタオルを渡すシーンからは、この二人の関係が少しだけ感じられ…
というように、このエンディングからも読み取れることは多数あります。

また、最大のポイントはダンスシーンにおいて律子がいないこと、これでしょう。
ここでのこの描き方で、アニメにおいて律子ははっきりとプロデューサーであり、アイドルでは
ない。アイドルたち12人とは扱いを別とする、という事実が叩きつけられた
形になるわけです。
アニメからの新規の人はこれに何の違和感もないかもしれませんが、既存のPからすると…
少なくとも私にとっては、かなり残念な描き方と言わざるを得ません。

とはいえダンスシーン自体のクオリティは高く、今後もこのハイクオリティなダンスシーンを
期待できる、というあたりは当然評価すべきことだと思います。

そして、この楽曲が選ばれた理由。「ひとりでは出来ないこと」「仲間となら出来ること」の
歌詞通り、「団結」がアニメにおいて非常に重要な要素である、というメッセージ
でしょう。
この曲自体は「2」のメインテーマなわけですが、「2」は3人ユニットでのストーリー。
アニメでは当然そんな制限もなく、13人のストーリーとなるわけで、「2」以上に
「団結」が大きな意味を持ってくるわけです。そういう意味もあってのこの第1話での
エンディングに抜擢なのだと思いますし、実際にベストな選曲だったと言えるでしょう。

この時点ではエンディング曲が毎週変わるなんてことはわからなかったわけですが、
雰囲気的にはそれを感じさせてくれるような仕上がりでもあったと思います。

これにて第1話完…とはならず、最後に最大のサプライズ。そう、カメラマンが実は
新入社するプロデューサーだった
、ということの紹介です。

これについてはアニメ放映前には完全に伏せられていて、プロデューサーなしでの
ストーリーになるのでは、ともされていたわけですが、ここで出てきたわけです。
アニメにおいて特定の容姿・声を持った男性プロデューサーが出ることに対し、
かなりのリスクはあったはず
ですが、少なくともここでの登場シーンにおける
容姿的や声的にも嫌な感じはなく、第一印象は上々、といったところでしょうか。
「夢はみんなまとめてトップアイドル」と語ったところも好印象でしょう。

また、このサプライズ発表に対してのアイドルたちの反応、というのも特徴的。
「プロデューサーが誕生」について春香美希やよい伊織亜美真美は喜びを
見せますが、千早あずさ貴音は驚きを、そして雪歩だけが不安を見せます

そしてカメラマンがプロデューサーだと発表された際には全員が驚きを見せますが、
その後の反応は様々に。春香ら喜び組(この表現はダメですね)はすぐさま
かけよりますが、雪歩は男性ということを知ったことでか、引き続き不安顔、
そして千早に至っては興味なし、ととれるような表情となっています。

最後のプロデューサーの所信表明シーンも個性的で、多くのメンバーが期待の顔を
する中、伊織は睨みつけるような表情、雪歩はまたも不安、そして千早は興味なし、という感じで、
同じコトを前にしても、リアクションは人それぞれ、ということが描かれており
個性というものがしっかり表現されていると感じます。


というわけで第1話ではアイドル達13人と、小鳥、社長、プロデューサーまで紹介する、という
密度の濃い回になったわけですが、一通りの個性がしっかり紹介されたことで、
既存層を満足させ、新規層に対してもアピールできるような描き方ができていたと思います。
また、オムニバス的な演出はこの1話限り(26話も一応ありますが)となるわけなんですが、
この後に描かれていく彼女たちの「群像劇」を端的にあらわす表現としてはベストなものでしょう。

誰か一人だけが主役なのではなく、13人全てが主役であるということ、
これがアイマスというコンテンツの非常に重要なところで、アニメにおいても同じである、
ということがこの1話でしっかり表現されたわけです。

大いなる期待を持たれてスタートしたアニメ版アイマス、まずは上々のスタートでしょう。



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