第12話 一方通行の終着点 Bパート

kage

2013/12/13 (Fri)

美希が「街のカワイイ女の子」的なテレビ番組の特集らしきものにインタビューされている
ところからBパートは始まるわけですが、インタビュアーは「アイドル星井美希」のことを
全く知らない
、というところで、現在の美希のアイドル活動の厳しさがうかがえます。

それにしても「もしかしてモデルかアイドル?」に対し「うん、アイドルだよ」という返し、
随分奇妙なやり取りに感じてしまいます。インタビュアーは自称アイドルを信じる根拠は
どこにもないはずなんですが、その後の「持ち歌とかってあるの?」が煽り・茶化しでは
なくて割と本気っぽい質問になっている、というところがその奇妙さの原因かと。

これについては、このアイマス世界における「アイドル」と、現実世界における
「アイドル」のあり方がかなり違う
、というところをあらわしているのかな、という感じ。
ゲームではよくわかるように、このアイマス世界は「アイドル戦国時代」であるわけ
なんですが、現実世界以上に有象無象のアイドルが存在しているような感があります。
そう考えれば、「街のカワイイ女の子」が実際にアイドルである確率は決して低くなく、
珍しいものではない、ということがあるんではないだろうか、と思えるわけですね。

さて、美希は持ち歌のリクエストに対して「Do-Dai」を歌うわけなんですが、「Do-Dai」は
美希の持ち歌ではないはずでは…
。まぁ765プロの歌だからいいんでしょうけど。

そんな美希は思わず歌ってしまったものの、「元アイドル」であると言おうとするわけですが、
その厳しい表情は、どう見てもアイドルに対する未練たらたら。というより、そもそも
まだアイドルを正式に辞めたわけでもないわけで、その複雑な心境を感じさせます。

そしてそこにPが登場し、美希は逃げ出します。それを追いかけるPの姿は一歩間違えれば
変質者ですが、まぁカップルの痴話喧嘩みたいに周囲からは見えているのでしょう。

結局捕まった美希は、先程楽しそうに歌っていたことに対し、「全然楽しくなんかないよ!」
と叫ぶのですが、その表情はやはり非常に複雑なもので、どう見ても本心ではない感じ。

そしてそんな美希に対し、Pが真っ先にしたことは、頭を下げ、謝罪をするということ。
Pの非が全くないわけではありませんが、基本的には美希の幼稚さが要因で起こった
今回の出来事。美希本人がそれを自覚していたからこそ、面食らい、「怒らないの?」と
Pに聞く、という反応を示すこととなった
わけですね。続く美希の「そうだよ」も
非常に気不味そうな感じで、引くに引けなくなった美希の幼さが感じられるところです。

そしてそんな美希は「今までお世話になりましたなの」とPに頭を下げ、去ろうとするわけ
ですが、今回は走り出すわけでもなく、歩いて去っていきます。この時点で、もう美希
心は決まっているというか、「Pに引き留めてもらいたい」という意思表示をしている

ようにみてとれます。自分から「戻ります」と言えるほどオトナではありませんが、
Pの先程の謝罪から、「Pならきっと自分を引き留めてくれる」という確信を得たのでしょう。
そう考えれば、先程のPの謝罪、まさしくパーフェクトコミュニケーションだったと言えます。

一方、春香たち他のメンバーはレッスン場で「美希がもし戻らなかったら」ということを
話合っているわけですが、その話を切り出したのがというのもまた…。
ネガティブな話題は雪歩の専売特許のはずなのですが、これをに言わせてしまう
あたりが、なんともの描き方としてはうまくないところ。基本的ににポジティブな
不安に感じ、口にしてしまうくらいの状況である、ということを示したかったのでしょうが、
だったら真美あたりのほうがまだ自然というか、嫌な感じはなかったように思えます。

そんな重苦しい雰囲気を変えるのは、春香、ではなくて千早となります。ただ、これは
Aパートの描写同様に、美希とPを信頼して、というよりも、自身がライブに真正面から
立ち向かいたい、余計なことにかき乱されたくない、という姿勢にも見えます

この段階で千早は仲間に対する絶対的な信頼を置けていない、この状態こそが、
後のスキャンダルに端を発する千早の事件が泥沼化してしまった原因にもなるわけですから。

さて美希とPは、美希が勝手気ままに街を散策するのにPがついていく、という形と
なっていて、実質デートかのようなシーンに。そして美希がアクセサリー屋で
目にとまったアクセサリーをPが見抜く、というところで、Pがちゃんと美希の趣味嗜好を
把握していることを美希に知らしめることととなります。続く服の着こなしについても
美希の好みと完全にマッチ、というところで、美希の中のPに対する評価はうなぎ上りと
なっていく
わけです。このあたりは普段のPの努力の結果でもありますね。

そして場面は美希の先生であるカモ先生のいる川にかかる橋での会話シーンに。
美希が自ら心情を吐露するところで、先程までのPに対する信頼、評価向上の結果、
この流れとなった、ということが大いにあるでしょう。そんな美希が最近ドキドキワクワクした
ものは「竜宮小町」ということで、アイドルというものに対する美希の想いを、
Pはここで初めてちゃんと認識する、ということとなる
わけです。

そしてその想いを受けて、Pは「次のライブで成功すれば、竜宮小町と同じくらい、それ以上に
輝ける」と美希に宣言するわけです。ここはPの話し方が非常にポイントとなっていて
「多分」「かも」「はず」なんて言葉は一切使わず、断定する形で美希に話す形

この強い姿勢こそが、美希の揺れる心を引き留めることに大きく役だったわけです。
もちろん、そうはならない可能性だって十分あるはずで、美希を裏切る結果になるかも
しれないわけですが、今の美希に対してはこの言い方がベストで、そしてそう言いきる
ことで、「予言の自己成就」を引き起こすことを狙うものとなっている
とも言えます。
それはもちろん、P自身が美希達のアイドルとしてのオーラを客観的にと捉えられていて、
そして彼女たち自身を強く信頼できている、ということが大前提としてあるわけです。

それに対する美希は、やっと正直に765プロに戻ることを表明。Pにいくつか約束を
とりつけながらも、その約束は守られるはずだという確証があるようにも思えます。
ここまでのPの姿勢や発言を考えれば、美希が信頼するのも必然と言えるもので、
まさにパーフェクトコミュニケーション
、といったところでしょう。
ちなみに最後の指きりは3話の雪歩のシーンと同じ手法となってしまっているわけですが、
「約束」といえばこれ以上の描き方もないわけで、仕方ないところかな、と。

そして765プロに戻った美希は他のメンバーに頭を下げて謝罪。それに対し千早
「謝って欲しくない」「プロとして」というセリフで返し、美希に厳しい姿勢ながらも結果的には
フォローする、という形となるのですが、これも前述の通りかなり危うい形かと。
この場を収めるにはこれでよし、ではあるんですけれども…。

そして最後は衣装に着替えた美希が、Pに対して満面の笑みを見せるところでエンディングへ。
エンディング曲は「ショッキングな彼」。美希らしいファッショナブルな姿を見せるイラストを
背景に流れるこの曲は、歌詞的にはやはりストーリーと微妙にズレている感もあるのですが、
テンション的にはここに来るのにピッタリで、ベターな選曲だと言っていいでしょう。


さてこの12話、前半戦折り返しの13話直前というタイミングで、春香と並ぶもう一人の
メインヒロイン、美希の個人回となったわけです。美希というキャラクターは、SPのときにあった
ように、その是非はともかくとしても、非常に不安定な立ち位置にいるものとなっています。

そんな不安定さが、ライブという大きなステージを前に一騒動、というストーリーの構成に
おいてフィットしたことで、ここに美希回が来た、というのがまずあるのかな、というところ。
また、後半の所謂「覚醒」を描くためにも、ここでその伏線を張って置く必要もあったのでしょう。

この回自体では、美希のコドモっぽさが前面に出てしまっているところもあるのですが、
それ自体を美希の魅力としつつ、さらにその裏返し、「やるときはやる」という姿勢を
暗示することで、さらなる魅力を引き出している
ように思えます。

全編通して見た際のストーリーの起伏として、そして美希というカリスマ性溢れるキャラを
描くにあたって、この12話はうまく描けていると言え、アニメ前半戦のラスト、13話の直前を
務めるに相応しい出来になっているのではないかと感じられます。



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