第20話 約束 Bパート

kage

2014/01/05 (Sun)

千種が春香千早の弟、優のスケッチブックを手渡すところからBパートはスタート。
優の千早の歌への想いを聞かされた春香は千種からそれを千早に渡すように
話しますが、千種はそれを固辞。親子関係が再建不能であることがはっきりと
分かるわけですが、未成年の子供に対する責任の放棄、そしてそれを子供の
友人に託す、というやりかたはやはり大人として、親としては失格
かと。
このあたりのコミュニケーション不全っぷりは千早と酷似しているようでもありますが。

さてそのスケッチブックを受け取った春香はPにそれを報告しますが、それと同時に
千早に「おせっかい」と言われたことに対する想いも吐露します。ここでPは
「そんなことはない」と断言。第6話でのキャラメルの話を出して、春香に対して
その信頼を表明しますが、この断言を千早にできていれば…という感も。

また、ここでPは千早への対応を春香に全面的に任せる、としてしまうあたりもちょっと
どうかと思ってしまいます。Pが忙しいのはわかりますが、春香だって忙しいはず。
千早のプロデューサーである以上、P自身がなんとかしなければいけないはずなんです。
春香への絶対的な信頼があるからこそ、それを春香に託した、と言えば聞こえはいいですが…。
その信頼の強さが仇となって23話につながるわけで、極めて危ういものでもあります。

さて春香は楽屋で美希とスケッチブックをみるのですが、そこであることを思いつき、
律子千早の処遇について話すPへと提案にいきます。ここでのPは「苦手意識」なんて言って
いますが、現状の千早の状態はそんなレベルではないはずでは…認識が甘すぎるかと。
千早のプロ意識への信頼ともとれますが、そういう状態でもないのは明白なはず…。

そして春香千早の元を再び訪れます。またも春香を拒絶する千早ですが、今度は春香
「ほっとかないよ」とその拒絶を拒否。ここで千早にどうして欲しいか、どうあるべきか、
ではなくて、自分がどうしたいかということ、「千早と歌を歌いたい」と話します。
千早にアイドルを続けてほしい」という言葉こそが、千早への「期待」と示すわけです。

そして春香千早に手紙と、みんなで作詞したという「新しい歌」、そしてスケッチブックを
置いて去っていきます。手紙には765プロみんなの気持ちと、「弟は歌が聴きたかっただけでは
なく、笑顔が見たかったのでは」というメッセージも残していきます。「また怒られちゃうかも
しれないけど」と前置きしている通り、この代弁も結構危険性はある
ものですが、弟が書いた
スケッチブックというアイテムがあることで、千早の心にはダイレクトに届くこととなります。

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さてシーンは定例ライブへ。セットリストの終盤に、千早の新曲「約束」を用意して待ちますが、
千早は当然来ていない状況。皆が不安を募らせる中、春香は「いつもみたいに円陣組もうよ」と
いつもの明るさで提案します。春香だって当然不安があるはずですが、それを感じさせず、
務めて前向きに、皆を引っ張るその姿こそが、765プロのセンターたる所以
でしょう。

そして円陣を組み、いつものように掛け声を、というところで待ったをかけるのは
姿なんか見えず、微かな足音しかしない状況でそれに気づく、さすがの感覚ですね。

というわけでやってきた千早。「歌えるかはわからない」としつつもステージに立つことを
決意しているわけです。そして春香の顔をみることで、その感情はとめどないものに。そこに
「さぁ、手を」と声をかけるのはあずさこの役回りは他のメンバーではできないものですね。

その円陣後、ステージは着々とするのですが、その裏で千早春香に謝罪しようとします。
それを「そういうの、なしなし」とする春香。そしてそこからのちょっとした無言の時間。
この関係性こそが、春香千早のつながりであり、信頼関係である、といえるものです。
ここで千早が「歌いたい」と思った気持ちを話すこともまた、その表れですね。

そしてPに促され、千早はステージに上がるのですが、その表情はステージ裏のときとは
違って、暗く沈んだもの。客席からのどよめきもあって、やはり平常心ではいられないのでしょう。

曲自体が始まっても、弟のことがフラッシュバックして、声が出ない、歌えないという事態に。
それをみて律子は中断をかけようとしますが、そこで春香がステージへと駆けつけます。
そして沈む千早の横で「約束」を歌いだす春香と、765プロのメンバー達。こうなると中断しようと
した律子が道化というか、千早や他のメンバーに対する信頼が深くないようにも見えてしまって、
正直あまり良い描き方でもない
ように思えます。まぁ誰かがやらなきゃいけない役割ですが…。

とにかく、皆が歌う「約束」のその歌詞の世界観、そして皆の想いが千早の心に響き、幼き日の
優と自身をあるべき姿で蘇らせ、声を、歌をも蘇らせることに成功。恍惚の表情で歌いあげます。

そして溢れる涙をこらえることができず…というところで、そのまま「約束」でエンディングへ。
ステージ後の千早達の姿、その報告を受けた社長や小鳥の姿というものが描かれますが、
その中で印象的なのは、春香達と手をつないで横断歩道を渡るシーン。そこでは同時に
幼き日の千早と優が手をつないで同じく渡る姿も描かれ、叶わなかった願いが、幻想の中で
あれ叶うこととなった、という美しい情景がみられ、千早が捉われていた過去のトラウマから
解放されることとなった、ということを見事に表現する描写
としてみることができます。


さてこの20話、4話では前置きにしかならなかった千早回がちゃんと描かれたものになります。
「約束」という楽曲のシーンは、それこそ一種のカタルシスとして完成されていて、美しいもので
あることは否定しません
が、そこに至るまでの道筋というのが正直あまり美しくなくて…。

まずはなんと言っても露骨な「千早優遇」。他のほとんどのメンバーが1話限りで個人回を
終わらせているのに対し、4話とこの20話、さらには次の21話の前半まで千早回として使う、
というのは正直私としては「優遇し過ぎ」としか言えません
。さらにそれだけではなくて、
15話から19話に渡っても、毎度この20話に至るまでの伏線を張りまくっていて、それも冗長。

千早というキャラクターが他の誰よりもシリアス展開がしやすく、アニメのシナリオとして後半に
山場をつくるにあたってそれが最適である
、ということは理解できますし、千早自体がアニメに
限らずアイマス全般で「推される」位置にいるキャラクターである
こともわかりきっています。
それでも、ここまでやってしまうと「やり過ぎ」にしか感じられなくなってしまうのです。

また、必要以上に騒ぎ立てるマスコミの描写というのも不自然で、何をそんなに騒ぐのか、
というのもあって、どうにも違和感が残る描き方になってしまっているのも事実。

さらには春香千早の対応を投げっぱなすPというのも、どうにもうまいとは感じられません。
これはPから春香の信頼を描き、23話につなげる、という効果があるのはわかりますし、
春香千早の関係性を深く、強く描く、という意味があったこともよくわかります。
しかしそれを優先するがあまり、ストーリーとしてのバランスを欠くのはいただけません。

「約束」という楽曲がいかに素晴らしく、そこへの道筋が綺麗になっていたとしても、
それを支える土台がどうにも不安定、というのでは、感動も半減、というところ。

他の回に必要以上の描写を挟まず、それでいてPとの信頼関係もきちんと描く、これさえ
出来ていればより完成度は高く、感動できるものになっていただろうに…という感じで、
もう一歩どころか二歩くらい足りない感じ。少なくとも手放しでは私には称賛できません。



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