劇場版アイドルマスター レビュー その6 ※ネタバレあり

kage

2014/01/31 (Fri)

いよいよクライマックスですが、まだラストではありません。ネタバレにご注意を。

19.アリーナにて

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みなで立つステージから見たアリーナはあまりにも広大で、言葉も出ないメンバー。そんな中、
春香は「後ろの人も見えてるからねー!」とお得意のセリフをアリーナに響かせます。

そしてここからが圧巻の大演説。あまりにも広大すぎるアリーナ、今自分がここにいるのは、
ここまでの全てがあったからこそで、何一つ欠けても「今」はなかった
、と語り始めます。
そして伊織を先頭に、765プロメンバー、P、小鳥、社長、バックダンサー陣全員に声をかけ、
これまで関わってた全ての人がいるからこそ「今」がある、ということを春香は語るのです。
可奈だって当然そのうちの一人であって、だからこそ見捨てられない、とするのです。
「もっと良い方法があるのかもだけど、私は『天海春香』だから」として、誰も見捨てない、
これまでの全てを背負って、この先に進みたい
、とその気持ちを皆に伝えます。

このセリフ、このシーンはもちろん「春香らしさ」があって、可奈にこだわった理由もちゃんと
わかり、アニメ本編終盤で「みんな」を求めた姿ともブレがなく感じ、非常に良いシーンです。

ただ、それ以上にこのシーンに重みを感じるのは、やはりメタ的に見た場合。春香の姿勢を
そのままアイマスの姿勢にトレースすることができ、そうみるとあまりにも重大すぎるシーン
です。

すなわち、アイマスというコンテンツは、これまでの全ての展開があってこそのものであり、
だからこそどの展開も見捨てることはない
、ということです。一人一人に声をかけていく
シーン、これはそのままこれまでの各種展開、一つ一つを確認することと同義に見えます。
「アーケード」、「360」、「XENOGLOSSIA」「L4U」…「シンデレラ」、「ミリオン」と。

公式ホームページリニューアルの際、まさかの「XENOGLOSSIA」さえも掲載したという事実。
この映画にこそ正式に出演していないものの、ポスター等で姿をみせ、現在はシャイニーTVでも
登場、そして8thライブでもその楽曲が使われた876プロ、「GRE@TEST BEST!」で当然のように
音源が使われた長谷さん本当に誰ひとり、何一つ見捨てることなくあるのが今のアイマスです。

これまでの9年間、実に様々なことがありましたが、その全てが今のアイマスを構成しているのは
確かで、それこそが「アイマス」だと春香を通してハッキリ言わせた、これは極めて重大です。

「もっと良い方法があるのかもだけど、私は『天海春香』だから」は、そのまま「もっと良い
コンテンツの展開の仕方があるのかもだけど、これが『アイドルマスター』だから」
となります。

この映画に出演したミリオンライブこそがまさにそれに当てはまって、これに対しては批判もあり、
それこそ「もっと良い方法」があったはずです。それでも、今はこのミリオンライブを推すことが
大事で、彼女たちも同じ「アイマスの一員である」、それを示すために今回出演にしたのでしょう。

「XENOGLOSSIA」から入ったPだっているはずで、876プロは今でもアイマスの大事な一員で、
そして長谷さんもアイマスに多大に貢献してくれた。この事実があって今のアイマスなのです。
ミリオンだって、シンデレラだって、アイマスを冠する同じ仲間、今のアイマスなのです。


そのときそのときの「今」を大事にしてきたアイマスが「今」大事にすることは、その「今」の
積み重ねをちゃんと確認して、それらすべてとともに先に進むことである
、こう示しているのです。

「私は『天海春香』だから」はだから果てしなく重い。「私は『如月千早』だから」でも「ミキ
星井美希』だから」でもどうしても違和感があって、春香だからこそ、と感じてしまうのはやはり
春香こそがメインヒロインで、アイマスのセンターであるから、に他なりません。
春香にアイマスそのものを代弁させる、これは本当に物凄く効果的な演出だと思います。

さてストーリー的にはそんな春香の演説に可奈も心を決め、ライブに出たいと叫びます。
そしてそこをフォローするのが星梨花と杏奈。11話のやよい雪歩を思わせる演出ですね。

春香と可奈が「今どうしたいか」を話したのに対し、伊織は志保にもそれを話すよう促しますが、
「アリーナはあまりにも重すぎる」として話すことをしません。すぐ後のシーンでわかりますが、
これでも志保はやっぱり納得していなくて、それでも空気的には何も言えない、という感じです。

そして演説後はどういうわけだか765プロのメンバーは皆涙を目に貯めています。ここで実際に
決めたことは「バックダンサーのレベルを下げない」「可奈が復帰する」というだけで、演説中には
涙目にすらなっていなかったのになぜ泣いているのか…
と思えてしまうんですが、ここもメタ的に、
この「全てで行く」というアイマスの姿勢・覚悟の重さをアイドル達に代弁させているのでしょう。

このアリーナ内でのシーン、最後は伊織「もし間違いそうになったって、転びそうになったって
なんとかしてみせる。それが765プロでしょ」
と力強いセリフを残します。過去には9.18という
明らかな失敗がありましたが、本当に「なんとかしてみせた」のがこのアイマス
であり、だからこそ
言葉の重みがあります。今回の「全てで行く」姿勢もまた、間違いを引き起こしたり、転びそうに
なることがあるかもしれない。それでもまた「なんとかしてみせる」と断言しているのです。この
方向が100%正解とは言えないかもしれない、それでも…というメッセージ、ここまではっきりと
断言されては、もうその姿勢を受け入れるほかなく、何も返す言葉も出てきません


その後アリーナから出た際のシーンでは、雨はすっかりやんで夕焼けとなっています。雨はやはり
不安の象徴として使われていた演出で、それが晴れたことをこの夕焼けで示しているわけです。

ここでは志保が春香に対し、言葉がキツかったことを謝罪しつつも、「やはり納得はできない」と
話しますが、春香は「それでもいい。でもアリーナライブ、一緒に頑張ろう」と返すのです。

ここもまた重要で、「今進めるものだけでも進まないと」として「アンチモバグリ」を暗に批判した
はずの志保が、今度はその「みんな一緒」を否定する「アンチモバグリ側」に立つ、という
逆転現象を起こしてしまっている
、という極めて高度な演出がなされています。ちょっと見方を
変えるだけで、立場は全く逆になる、ということをこの演出で描いていて、お見事の一言です。

さらには、春香が「それでもいい」とすることで、「アンチモバグリ」をも容認し、その上で
「それでもアリーナライブは一緒に頑張ろう」、つまりは「アイマスを一緒に盛り上げよう」

返す、これによってどうやってもモバグリを容認できない人たちさえもフォローし、その立場を
理解し、「それでもいいから、アイマス自体は一緒に盛り上げよう」とのメッセージとなるのです。
こうした形でのアンチモバグリへのメッセージ、これには私グゥの音も出ません。今のアイマスを
快く思わない人さえも見捨てない
、そのメッセージとなっていて、圧巻の描き方です

そして可奈が春香に、「みんなで頑張る」と誓います。ミニライブ後は「私が」となってしまった
のをここでは「みんなが」に戻した。志保にとってはやっぱり思うところがあるでしょうけれども、
それでもやっぱり「みんなで」で765プロで、アイドルマスター。それを感じさせてくれます。


20.輝きの向こう側へ!

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バックダンサーたちはスクールへ寄って帰るといい、765プロのメンバーだけで帰ります。
そして帰り際、川辺での夕焼けに圧倒される一同。ここで夕焼けの輝きをサイリウムみたい
と話しますが、サイリウムというのは商標登録された商品名。だから「カーテンコール」では
「ケミカルライト」に置き換えられたわけですが、この映画においてはよりアイマスに馴染みの
ある表現でこの言葉を使った、というあたりもまた感慨深い
ものですね。

さらにはここで亜美真美やよいとウェーブをしてふざけますが、これもライブで下田さんが
「黎明スターライン」でウェーブを生み出すところとかけている
のでしょう。年少トリオがふざけて
遊んでいるだけ、と言えばそれまでですが、こうなると全ての描写を深読みしてしまいます。

そして「輝きの向こう側」に何が見えるのか、想いを馳せる一同。いよいよアリーナライブへ!


次回がラストです。
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