劇場版アイドルマスター キャラクター別 評価 前編

kage

2014/02/03 (Mon)

今回からは各キャラ別にみていきます。まずは765プロアイドル8人について。
一応これもネタバレですね。


天海春香

今回のアリーナライブでリーダーとして指名された春香は、アニメ終盤同様、主人公、
あるいは一人称として描かれることとなりました。ハナから「13人平等」で描くつもりも
なく作られたこの劇場版において、誰か一人主役ならそれはやっぱり春香しかいない
という意味ではアニメ終盤での扱いに苦言を呈した私でも、この扱いには納得しています。

描かれ方としては、アニメ終盤の流れそのままだな、という感じで、「みんな」に拘る姿も
決して違和感のあるものではありませんでした。可奈を探しに行く、と決断・報告するシーンでの
表情が決して明るいものではないのは、自分が100%と正しいなんて全く思っていないから
であって、そういう表現でこの春香をきちんと描いてくれた、というのにはホッとしています。
アニメ終盤の暴走的な「みんな」へのこだわりがバランスのとれた形に収まっているわけですから。

また、合宿中に可奈の相談を受けるシーンは春香であり、中村さんであり、という風に映り、
声優陣とのリンクが極めて強いアイマスならではの描き方で、象徴的でもあります。

象徴という意味ではやはりアリーナでの「私は『天海春香』だから」の一連のシーンが圧巻であり、
春香自身のこと、そしてアイマスというコンテンツ自体のことをこうした場面で語る、という
描き方はやはり凄味を感じます。「13人がメイン」なのは確かであっても、やはりアイマスを
背負うのは春香
であって、だからこそ「私は『天海春香』だから」が重い重い意味を持つ。

13人が平等に描かれないということについて、私は満足していません。ただ、主役である春香
このセリフを言わせる、これだけのものを背負わせる、という覚悟でこの特別扱いにされたというの
なら、それはそれで納得するほかありません。それほどまでに圧巻のシーンで、流石は春香、です。

ベストシーン:アリーナにおける「私は『天海春香」だから」


星井美希

春香と並ぶアイマスのメインヒロインですが、今回は特別に優遇された扱いではありませんでした。
ハリウッドデビューするなど、アイドルとしてのランクは格上のようですが、描き方としてはそれは
あくまでも個性の範疇に過ぎず、春香のような「特別扱い」を受けたとは全く言えないでしょう。

そんな美希について気になったのは、Pがハリウッド研修に行くことを報告したときの反応です。
亜美真美やよいのようないかにも、なメンツだけでなくですら迫ったあのシーンにおいて、
美希は一切口を開きもしなかった。こうなるとやはり美希のPへの想いはそれほどでも…
とどうしても思えてしまいます。それこそ、女子校の生徒の男性教師への憧れ、程度だと。

ただ、アニメにおける美希春香の対として、徹底的に高いプロ意識がある存在として描かれて
いるため、Pへの対応というものも、そこまで鑑みれば納得というか、理解できるものです。
番組中に「ハニー」と呼ぶなどプロ意識が低い面もありますが、これはギャグ描写の範疇でしょう。

それ以外だと、やはり春香ミキのライバル」発言が非常に重要でしょう。360版でセンターで
美希が登場して以来、この二人の関係性については主に二次創作で色々と言われてきましたが、
ここで明確に「ライバル」と発言したわけで、それはやはり重いものです。しかしながら、
その「ライバル」の意味というのは、決して真正面からぶつかり合うものではなくて…という
あたりで、このアニメにおける春香美希の関係を非常にうまく説明する言葉として使われていて、
PV時点で感じられた不安というものが一切ない、「美希らしい言葉」でも合ったと思います。

ベストシーン:水瀬家における「だから春香ミキのライバルなのかも」


如月千早

アニメ本編では春香に次いで、美希をも凌ぐ特別扱いを受けた千早ですが、今回の映画においては
一歩引いた立場で春香を見守る立ち位置で、決して目立つポジションではありませんでした。

千早についてはアニメ本編でその成長っぷりを描き切ったがゆえに、非常に成熟したキャラとして
描かれていて、ある意味ではかなり安心できるというか、落ちつける存在でもあったと思います。

それは春香にとってももちろんそうであって、合宿の早朝ランニングや、カフェらしき場所での
春香との会話シーンなどがそれをあらわしています。そんな千早が大切にしているのは、
新たな趣味となった写真が象徴となっている「今」。本作の大事なテーマとも合致するところで、
そういった意味ではやはり「ヒロイン」としてしっかり描かれているのだな、と感じられます。

母親をライブに招待するなど、成長のあらわれはそれ以外でもきちんと描かれている一方、
バックダンサー達に対して自分からは何も言わない、というのは「らしさ」が残っている感も。
もっとも、バックダンサー達については春香に一任、という信頼のあらわれでもありますけどね。

ベストシーン:早朝ランニング後の海辺での春香との会話、写真撮影


高槻やよい

アニメ終盤での冷遇そのままに、今回の映画でもほとんど目立つシーンがありませんでした。
言葉は悪いですが、モブとしての意義しかなかったように感じてしまえる、非常に厳しい扱いです。

一応合宿夜のミーティングで率先して意見を出すシーンがあって、そこに成長っぷりを見出す、
ということはできるのですが、逆にいえばそれしかない、という感じで、あまりにも悲惨です。

キャラクター的にシリアス展開についていけない、というのは理解できますが、たとえば
合宿初日の夜、そして萩原家でのお泊りシーンにおいて描かれた雪歩のシーン、
そのうちの一方がやよいであっても…
というところがあって、そうできなかったのは非常に残念。

11話で苦戦した二人ですが、その11話でも雪歩のほうにスポットライトが当たっていて、
さらには浅倉さんのこととも合致する話で、そうしたことでセリフに重みが生まれて…というのも
理解はできますが、せっかく役割が与えられても不自然でない場面があったのに…という感じ。

年少のやよいだからこその先輩像というのも描けたはずで、実際それはDSできちんと描けて
いたはず。それも含めてやよいさん」としての姿をちゃんと描いて欲しかったのです。

印象に残るのが他に劇中劇の石柱を持って大暴れ、では…やはり可哀想、としか言えません。

ベストシーン:合宿初日ミーティングでの積極的な挙手・意見


萩原雪歩

やよいに与えられてもおかしくなかった役割をきちんと全うできたのがこの雪歩であり、
アニメ終盤での扱いの悪さを覆したといってもいいほどの活躍をこの映画では見せてくれました。

自身の体験を、想いを後輩達に語るシーンはまさにの言うとおり「萩原先輩」であり、千早同様、
あるいはそれ以上に、アニメ26話を乗り越えた上での「成長」を感じさせてくれるものでした。

そしてその想いというのは浅倉さんのものとも重なって…というのは前述の春香-中村さんと
同様ですが、やはりアイマスのキャラと声優のリンク性、を強く感じさせる非常に重いものです。

キャラクターのパーソナリティーとして「成長」が非常に大きなウェイトを占める雪歩にとっては、
この「時間の経過」、「先輩と後輩」が機能する「アニメ→劇場版」の流れは非常に相性が良く
今回の映画における「765プロに後輩ができたら」という大きなテーマをきちんと担ったのです。

ベストシーン:合宿初日夜のバックダンサーチームに対する語り


菊地真

アニメ本編ではメイン3人に次ぐ扱いを受けたですが、今回の映画ではかなり控えめの扱い、
というかかなり厳しい扱いであったと思います。そもそもアニメ本編でも「頼れる兄貴姉貴」的な
立ち位置で、場を引っ張れる力があったわけですが、それがこの映画においては逆効果で、
「成長」をより色濃く描ける雪歩にその役割をもっていかれてしまった、ともとれるものです。

もちろん、その雪歩をさらに見守る、という立ち位置に立つことはできたのですが、それでは
この映画で目立つことにはつながらず、活躍らしい活躍をしたとは言えないものとなりました。

の場合は「女性に人気」という特性を活かして、例えばバックダンサー組に強く憧れられる
存在、として描かれることがあっても全くおかしくなかった
わけですが、それもありませんでした。
まぁそこまで描いてしまうと春香と可奈の関係が薄れてしまうということもありますけどね。

「眠り姫」やオープニングでの映画撮影のアクションシーンこそ「流石でしたが、それだけでは
とても良い扱いとは言えません。アニメ本編での優遇からの揺り戻し、という感すらあります。

ベストシーン:オープニングの映画撮影シーンでのアクション


双海亜美

やよい同様、キャラクター的にシリアス展開で扱いづらい、ということがあるのはわかりますが、
それを踏まえてもやはり厳しい扱いだったわけで、もう少し何とかならなかったのか、という感じ。

今作については竜宮小町という存在もほとんど意味を持たなかったわけで、亜美真美の差別化も
実質全くなされず、二人で一組、という扱いがより強調されていたようにも思います。

亜美真美に関しては二人一組という扱いについて、私も特別に苦言を呈するつもりはありません。
しかしながら、別のキャラであるのは確かで、それを少しでも感じさせてくれたら…という感じ。

バックダンサー達との絡みもほぼなく、「年少の先輩」という特別な立ち位置をやよい同様に
全うすることができたはず
、というあたりは非常に残念で、それもまた少しでも…ですね。

破天荒なキャラクターがフルに感じられたのも「眠り姫」の謎のおしゃぶりくらいで、そこに
対しても描写不足な感も。とにもかくにも、描写が全くもって足りず、冷遇となってしまいました。

ベストシーン:「眠り姫」でのおしゃぶり姿


双海真美

ほとんど亜美と二人一組で描かれた以上、ここで書くことも亜美と同じになってしまいます。
その中で違いを探すならば、それはオープニングとエンドロール、この2点でしょう。

オープニングで亜美は竜宮小町の一員としてリーダー伊織を見守る立ち位置でしたが、真美
やよいとのツーショットで、年長のやよいを引っ張る立場
、というあたりで少し目立つ感じ。
やよい亜美真美の関係性というのはそもそもこうなので、違和感ではなく納得感、ですね。

エンドロールではそのやよいとの新プロジェクトとして「元気」をテーマとした企画が
動き出す
、というシーンが描かれていて、これが実際に何か動くのか、は気になるところ。
まぁ「2」の竜宮小町のようになってもお話にならないので、動かなくとも別に良いのですが…。
企画は企画、あくまでもそんな「可能性」を残すに留まるくらいが美しいとは思います。

なんにしても、本編では亜美と同様に活躍らしい活躍はなし。扱いの難しいキャラであるのは
わかりますが、そこをなんとかクリアしてほしかっただけに、非常に残念です。

ベストシーン:オープニングでのやよいと二人での写真撮影


次回は後編、ではなくて中編。アイドル5人+2人の7人を取り上げます。
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この記事へのコメント

kage

私は美希がPからハリウッド研修に行くことを告げられたときの態度は以下のように考えます。
美希は既にPがいなくなることをうすうす感じていたのではないかと。実際Pはそれをほのめかす発言(思い出づくり等)もしています。
直感的な人間洞察力に優れた美希がそれに気づいていてもおかしくない。
さらに、Pがいなくなることをふまえた上での春香リーダーだとしたら、と美希が考えた場合、それは複雑な心境になるでしょう。
そう思ってあのシーンを見直すと、私にはショックを受けた、というより「ああ、やっぱり」という表情に見えてきます。
その後、「美希はハリウッドであえるからいいよね」と突っ込まれたとき
でも、ハリウッドにはボン・キュッ・ポンがいるんだよ、とはぐらかします。それはもちろん残されるみんなを慮っての言葉でしょうが、美希にとってはボン・キュッ・ポンより、自分でなくリーダーに選ばれた春香のことを考えていたんではないでしょうか。
そう考えると美希の言う「ライバル」は、アイドルとしてのアイデンティティともかさなりつつ、とても重いもののように思います。

私は美希Pではなく、真Pですが、今回の美希は細かい部分での表情等で魅せる部分も多く、伊織以上に助演女優賞を捧げたいです。

Posted at 10:02:37 2014/02/04 by zap

この記事へのコメント

kage

Re: タイトルなし

zapさん

コメントありがとうございます。
美希については、というよりも春香以外については一人称で心情が
描かれることがないために、どう考えているかは非常に難しいところですよね。

今回の内容については、確かに一理あるなとも思いますが、それであれば、
美希がそのことを察しているようなカットが一枚あるべきだと思うんですよね。

春香がリーダーに選出された際にはちゃんとそういったカットがあっただけに、
それなしだとやっぱりどうなのかなぁ…と私としては思えてしまいます。

まぁ答えは公式側が一応持っているんでしょうが、二期でもない限り
明かされることもなさそうですし、我々一人ひとりの受け止め方次第、ですかね。

Posted at 21:48:21 2014/02/04 by トリプルデイP

この記事へのコメント

kage

失笑の発声練習シーン始め千早は確実に優遇されてると思いますよ。
まあ春香と絡む事しかアイデンティティが無いキャラなので、
今回の様な構成でそうなるのは当然ではあるのですが。

Posted at 16:27:49 2014/02/05 by

この記事へのコメント

kage

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。

千早はもちろん良い悪いで言えば良い扱いでしたが、アニメ本編の扱いに
比べればこれでもかなり抑えられていたとは思います。
本当は13人が今回の千早位の扱いでバランス良く描かれるのが理想ですけどね。

Posted at 22:27:21 2014/02/05 by トリプルデイP

この記事へのコメント

kage

一つ前の記事のレビュー書いてみました(*´ω`*)
春香をアイマスコンテンツそのものとして見るという視点は映画を見ている間は全く浮かばず慧眼であると感服しました。

Posted at 04:07:25 2014/02/14 by YU

この記事へのコメント

kage

Re: タイトルなし

YUさん

コメントありがとうございます。

私の観方が今回の映画を観るにあたって少しでもお役に立ったなら光栄です。
ありがとうございます。

Posted at 20:48:40 2014/02/14 by トリプルデイP

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kage


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