アイドルマスター ONE FOR ALL 総括 中編

kage

2014/07/26 (Sat)

個別シナリオ

13人一人ひとりの物語が描かれた今作。一人ずつみていくこととします。


天海春香

img_story01.png

「ワールド・アイドル・ノヴァ」というアイドルエクストリームとは別の大会にも参加する
こととなった春香。ここで描かれるものは、アイドルとしての成長に伴うファンとの
距離感との葛藤など、まさに王道アイドルストーリーと言えるものです。

王道ヒロインたる春香にとってはこの王道ストーリーというのはやはりお似合いで、
全く違和感なく見事にストーリーを描ききっているとは思います。ただし、春香個人の
特徴、もっと具体的にいえば春香が「アイドル」を志す理由、このあたりが明確でない
というあたりは気になる感じ。過去作まで鑑みれば、これで納得、ではありますが…。

アニメや映画によって、春香個人がどうこう以前に「アイドルマスター」という作品自体を
一人で背負う形にもなってしまった現状に対して、今回のシナリオが明確にその呪縛を
解いたかというと、そこに至ったとも思えず
、この呪縛は今後も付いて回るはずです。

その中で春香が何を見せてくれるのか、その一つの答えがこのシナリオ、と言った感じでしょうか。


如月千早

img_story03.png

メインシナリオのパート数が根本的に少ないとは言え、Pへのデレがあまりにも急過ぎる
といったあたりの違和感はどうしても拭えず。また、千早のアイデンティティたる歌への想い、
そして家族の話等も少なく、どうにも描写不足な感
もあり、やはり過去作を…とも感じます。

ただ、これもこれで一つの千早の物語であるはずで、千早に限りませんが、過去作は過去作であり、
今作は今作で、また新しい側面をみせてくれた、そう捉えるべきなのかもしれません。
少なくとも今作でも人間的な成長はしっかりと描かれたわけで、そこは十分評価できます。


萩原雪歩

img_story05.png

話としては子犬のユキを拾って…ということで、実にスケールの小さいもの。ただ、その小さな
世界の中で雪歩の成長を描く、というのもある意味セカイ系的
というか、そんな風にも感じます。

雪歩というキャラ自体、常に「成長」が大きなテーマとしてあって、過去の作品でもそれが
描かれてきたわけですが、そう考えた時に、今作はこういった形で表現した、というのであれば
このスケールの小ささも、これはこれで、と受け止められるような話でもあります。

「2」では理由があったとはいえ優遇された形でしたが、優遇されなくともしっかりと成長は
描けるし、雪歩の魅力は十分に伝わると、それを感じられたのは何よりでした。


高槻やよい

img_story04.png

やよいもまたスケールが小さいと言えば小さい話で、高校受験という非常にローカルというか
現実的な話が展開されます。ただ、アイドルの裏の側面が描かれるというか、表舞台の
煌びやかな世界だけではない、というのがよりリアリティを持って感じられる話
ではあり、
その意味では非常に評価できる話でもあります。「プロデューサー」だから直面する話ですしね。

そしてその中でやよいのいい子さ、というものがしっかりと描かれるわけですしやよいでは
中々描きにくいシリアスな展開も、リアリティを持ったテーマだからこそ描けた
とも感じます。

まぁやよいが高校生になる、とか何年後の話、とかいうあたりはメタ的にはギャグ要素というか、
そんな日は果たして本当に来るのか、とも感じてしまいますが、そこはツッコんじゃダメですかね。


秋月律子

img_story13.png

「2ndVISION」においては主にプロデューサーとしての立場に立ち、各種展開でも他のメンバーとは
違う扱いになるなど、非常に厳しい立ち位置の律子、今作でのシナリオが最も気になるメンバーとも
言えましたが、蓋を開けてみれば実にお見事、といえる会心のシナリオだったのではと感じます。

律子の夢はあくまでもプロデューサー、というのはあったとして、だからこそのアイドル秋月律子
また存在する
、というあたりで、システム的に「エンドレス」であることも含めて納得のいく物語が
しっかりと描かれたと言って良いでしょう。その意味で非常に完成度の高いシナリオとも言えます。

今作ではこうして13人平等の立ち位置に戻った律子ですが、公式の各種展開をみれば、依然として
厳しい立ち位置で、他のメンバーとの違いが浮き彫りになっているところもあります。果たして今後
どうなっていくのか…は今作だけをみてもわかりはしないのですが、「集大成」であるはずの
今作で、この立ち位置で、この物語が描かれたことは、だからこそ価値がある
と思えます。


三浦あずさ

img_story10.png

その女神的キャラクター故、他のメンバーとは異なり、彼女自身の葛藤や悩みのようなものが
各種展開で中々見えてこない、もっと言えば「プロデュース対象アイドル」として見にくい
そうなってしまっていた感のあるあずさですが、今作では最年長の彼女らしい悩みがしっかり
描かれ、そこをフォロー、そしてプロデュースしていくという物語がうまく展開されました。

プロデューサー自身が「さん」付けで、敬語で接する関係性、それだけで他のメンバーとは
随分と前提が異なってしまっているわけですが、あずさだってプロデュースが必要なアイドルで、
アイドルとしても人間としても成長する余地はある
のだと、それが再認識できたのは何よりでした。


水瀬伊織

img_story09.png

伊織の場合はやはり家族の話というのが非常に重要なテーマであり、今作でもそこがしっかりと
描かれました。そのストーリー自体はありがちというか、意外性などは決してありませんでしたが、
「2」でプロデュース出来なかった事からの反動もあり、これはこれで、とも感じました。

ただ、じゃあ満足できる内容かと言うとそのレベルには至っておらず、新しい側面のようなものが
描かれなかったというのは少しばかり残念
でもあります。それこそ竜宮小町のリーダーとしての
側面や、映画での活躍を鑑みたものを、ですけれど、今作にそこまで求めるのは難しいですかね。


菊地真

img_story06.png

男っぽさに悩み、お姫様に憧れる、というあたりの物語はやはりいつものであって、目新しさと
いうものはありませんでした
。また、プレイヤーの知らない間にプロデューサーが裏側で行動を、
というあたりもシナリオの都合とはいえ、中々納得しにくいというか、少し違和感もありました。

やはりこれまでとは違った新しい側面を描いて欲しかった、というのはどうしてもあるの
ですが、らしさが凝縮されたシナリオだったと見れば、評価できない話ではないでしょう。


双海亜美

img_story07.png

双子だからこそのシナリオであり、かつ「2」ではプロデュースできなかった亜美側からの
真美への想い、というあたりがしっかりと描かれた点については非常に評価できます。

もっとも、全アイドルのメインシナリオ中唯一別のアイドル、つまりは真美が出てきたことで、
ここはむしろ真美の評価が高まってしまうというか、そうなっていたのはちょっと気になる感じ。

それはそれとして、最終的には「別々で良いんだよ」と結論付けた、ここもまた印象的で、
メタ的ですが双海亜美」を亜美真美が名乗っていた上での亜美からの意見、と受け取れば
それはかなり大きくも感じます
。現に「2ndVISION」においては基本的に別々の扱いであり、
「それで良い」とすること、これこそが彼女自身の成長である、とも受け取れますからね。


双海真美

img_story08.png

シナリオの構成というか、根幹は亜美と同じでありますが、それは当然であり、残念という
レベルの話ではありません。その上で亜美真美でどう差別化されるのか、といったあたりが
気になったところになりますが、Pへのアプローチも含め、真美の方がちょっとだけ大人、
ちょっとだけお姉さん、というのが感じ取れるような差異が付けられた
のは良かったと思います。

二人のシナリオを合わせてみれば、「別々」だけど「一緒」、お互いがお互いを誰よりも必要とし、
大切にしている、という物語
であり、この二人のありかたとしてこれ以上はないとも思えます。

声優は下田さんただ一人、という前提や、13人という素数の人数といった色々な問題から完全に
二人が別になることはないけれども、だからこそ
、という話もあり、高く評価できるシナリオです。


星井美希

img_story02.png

展開によって扱い、そしてキャラクター自体が大きく異なり、色々と物議が醸される美希ですが、
今作では最後まで「覚醒」することはありませんでした。最後の最後に「ハニー」はありましたが。

つまりは美希がPとの距離を必要以上に詰めない上での成長、といったものが描かれたわけで、
それはそれで新鮮にも感じられた、ということもあります。とはいうものの、もちろん美希
Pに対する積極的な姿勢が崩れたわけでもなく、一線は越えなかった、というレベルなんですが。

欲を言えば、天才アイドル星井美希から見えるアイドルの世界、というものを春香のように
描いてくれれば
、とも思えたんですが…。美希春香と並び立つ存在でもありますからね。


四条貴音

img_story11.png

最初から最後まで終始具体的なことは語られず、「使命」は「使命」のまま、ということで、
モヤモヤ感が残るのは当然のこととなります。とはいうものの、それが「しーくれっと」であるのが
貴音の魅力でもあるわけで、これはこれで納得できる話でもあると思います。

動きとしてもおでんが云々という、非常にローカルな話だっただけに、よりそのモヤモヤ感が
強くあったとも思いますが、大きく動いた結果が「2」のシナリオでもあったわけで、貴音という
キャラクターをしっかりと活かすにはこのスケールの方が良かったのかも
しれません。

恐らく今後も「しーくれっと」について明言されることはないのでしょうし、その前提のもとで
話を動かすのであれば、こういう話になるのは当然、とすら言えるわけですからね。


我那覇響

img_story12.png

沖縄から単身出てきた、というのがアイデンティティとしてあるため、「2」と話の構成は似ている
気もしますが、シナリオの質自体は非常に高いと思います。ただし、「環境」が前提となっている
話でもあって、「性格」により準拠した話ができなかったものか…
とも思いますけどね。

もちろん性格という意味ではのいい子さが出ているのは確かなんですが、そこにもっと
フューチャーしたものだって描けるはずだとも思いますし、そこが残念と言えば残念かと。

まぁキャラのアイデンティティは環境も性格も合わさって完成されるものであり、そこを
厳密に分けることはできない
、というのはに限らない話なのは確かなんですけどね。


総括

一人ひとり細かくみていけば、満足度の違いというものはどうしたって出てきてしまいます。
だとしても13者13様の物語がきちんと描かれた、これがやっぱり大きくて、新しい側面が
描かれたアイドルもいれば、そうはならなかったアイドルもいますが、トータルで見れば
満足できるものでした
。少なくとも、より完成度にバラつきがあり、そもそも13人プロデュースで
すらなかった「2」と比べれば、その差は歴然とすら言って良いと思います。

また、アイマスはどうしても「無印」がベースになり過ぎている感があって、そこからの
キャラの性格等の乖離が指摘されたりもしますが、パラレルだとしてもアイドル達だって
成長していて、変化している
わけです。この事実をしっかりと受け止め、今作は今作で
また新しい魅力を見せてくれたのだと、そう考えるべき
ものだと私は考えています。

とはいうものの、今作をもってしてもまだまだ描ききれなかったアイドル達の魅力も
あるはずで、そこは残念でもありますが、今後に期待できるところでもあります

それが描かれる舞台が次の「新作プロデュースゲーム」であるかどうかは別の話になりますけどね。


続きます。
関連記事

コメントフォーム

kage


URL:




Comment:

Password:

Secret:

管理者にだけ表示を許可する

この記事へのトラックバック